2014年5月11日日曜日

家計を支える女性の出現率の国際比較

 以前に比して薄れているとはいえ,わが国では未だに「男の腕一本で一家を養うべし」というジェンダー観念が蔓延っているように思います。女性が結婚相手に求める年収の水準が高いという事実が,これを物語っています。
http://tmaita77.blogspot.jp/2014/02/blog-post_7.html

 しかし,世界を見渡せば,そうではない社会も存在することでしょう。夫がいる働き盛りの女性のうち,「主たる家計支持者(chief wage earner in my house)」はどれくらいいるか。今回は,この指標の国際比較をしてみようと思います。

 資料は,2010年から14年に実施された『世界価値観調査』です。私は,本調査のローデータの多重クロス集計を行い,30~40代の有配偶女性の数を国ごとに明らかにしました。日本の場合,その数301人です。
http://www.worldvaluessurvey.org/WVSDocumentationWV6.jsp

 この301人のうち,自分が「主たる家計支持者」であると答えた女性は15人となっています。比率にすると5.0%,20人に1人です。少ないですねえ。逆にいうと,残りの95%はメインの稼ぎを夫に求めていることになります。

 お隣の韓国について,同じ値を計算すると26.7%となります。ほう。同じ夫がいる女性でも,日韓ではずいぶん違いますね。このうちの多くは,共働きであるが,自分の稼ぎは夫と同等もしくはそれ以上と自覚している女性でしょう。こういう女性の出現率は,日本では20人に1人ですが,韓国では4人に1人というわけです。

 では,視界を全世界に広げてみましょう。私は,54の社会について同じ指標を計算しました。下の図は,値が高い順に並べたランキング図です。


 トップは,ぶっちぎりでタイです。この国では,夫がいる30~40代女性の56.8%が「自分が主たる家計支持者」と答えています。この図をツイッターで発信したところ,「タイでは,男性が遊び呆けることが多いので,女性がメインの稼ぎ手になる」というコメントがありましたが,南国の楽園では,そういう事情があるのでしょうか。

 主な国には色をつけましたが,ドイツは27.1%,韓国が26.7%,スウェーデンが26.0%,そしてアメリカが20.1%というところです。いずれも2割を超えています。

 対して日本はというと,下から4位。周りは,女性に厳格な戒律を課しているイスラーム国ばかりです。わが国の位置が,他の先進国から大きく隔たっていることが明らかです。

 私はこのデータをもって,日本の女性は甘えている(怠けている)などと言うつもりはありません。これはまぎれもなく,結婚して子どもができた女性の就業条件が整っていない社会の側の問題であると考えます。

 結婚期の女性も,こういう現実があることを知っているからこそ,結婚相手に高い年収を求めざるを得ない。しかしこのご時世では,そうしたマッチングがなかなか叶わず,それが集積することで未婚化が進行する。こういうスパイラルもあるのではないでしょうか。

 私が連載を持たせていただいている「日経デュアル」誌は,「夫婦共に働き,共に子育てに関わることが普通にできるような社会にしたい」。こういう思いで発刊されたものだそうです。

 私は,この理念に深く共鳴します。その具現は,個々人の働く権利の保障という次元にとどまらず,社会の維持・存続に関わる基本条件となると考えるからです。

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