2012年4月12日木曜日

年齢別の運転免許保有率

そろそろ前期の授業が始まります。今,大学から送られてきた授業関係の書類に目を通しているのですが,年々,授業実施に際しての要望(注文)事項が多くなってきているように感じます。

 イ)半期の15回の講義を必ず実施すること,ロ)出席管理を厳重にすること,ハ)ロクに出てこない学生に情で単位を与えないこと,云々・・・。ハ)については,私などは,学生さんに拝み倒されると弱いのだよなあ。ついつい,特別指導や救済レポートの措置をとる形になってしまいます。今年こそは毅然とした対応をと思うのですが,どうなることやら。

 さて,「ロクに出てこない」学生さんですが,多くは4年生で,理由のほとんどはシューカツです。まあ,この理由は大学も公認するところであり,教務課の判が押されている色つきの紙(免罪符)を持ってくればOKということになっています。

 しかし,それを持っていない者もいます。事情を聞くと「免許の教習所に通ってました」という答え。これはシュカーツではないですから,救済対象にはなりません。しかし,「入社までに運転免許を取るという条件で内定もらったんです。どうかどうか・・・」とすがってきます。むーん,これも広義のシューカツだろうなと,勝手に概念を拡張する私です。そして,(無償の)特別指導をすることに・・・。

 でも考えてみれば,社会に出るにあたって運転免許はほぼ必須でしょう。昨年の1月28日の記事でみたように,現在では,若年層の9割以上が運転免許を保有しています。件の学生さんも,免許を持っていないということで先方に渋面をつくられたそうですが,「卒業までに必ず取りますから」と必死に説得し,何とか内定にこぎつけたとのこと。これを見捨てておかれよか。

 今回は,運転免許の保有状況の統計をみてみようと思います。先の記事では,5歳刻みの年齢層別の免許保有率を出したのですが,最近は当局の公表資料も充実してきており,細かい1歳刻みの免許保有者数も知ることができます。これを各年齢の人口で除して,1歳刻みの免許保有率を計算してみようと思います。

 分子の免許保有者数の出所は,警察庁『運転免許統計(2010年版』です。同資料の補足資料2において,同年末の時点における年齢別の免許保有者数が示されています。ここでいう免許とは,大型から原付までの全種の免許のことです。複数の免許を持っている者は,上位のほうの免許保有者として計上されています。

 なお,公表されているのは県別の数値で,全県を合算した全国統計ではありません。私は,人口が最も多い東京のデータを使うこととしました。分母の年齢別人口は,同年の総務省『国勢調査』の数字を用いました。
http://www.npa.go.jp/toukei/menkyo/index.htm

 私は35歳の東京都民ですが,東京の35歳男性の運転免許保有者は104,465人だそうです。『国勢調査』から分かる当該カテゴリーの人口は114,505人。よって,免許保有率は91.2%と算出されます。私も一応,免許保有者です,全然乗りませんから,優良運転者です。

 では,この免許保有率を1歳刻みで出し,折れ線で結んだグラフを描いてみましょう。男女の2本の曲線を描きました。


 16歳から原付の免許,18歳から普通自動車の免許が取れるようになります。免許保有率は年齢とともに上昇し,大学卒業年齢の22歳では64.1%になります(男性)。以後,25歳で8割を超え,29歳で9割を超えます。以降,働き盛りの年齢層において,免許保有率が9割を超える高原状態が継続します。

 しかし,高齢期になると数値が落ちてきます。図中では,65歳と75歳の線を引いていますが,男性の64歳の保有率は76.6%,75歳の保有率は54.1%です。後期高齢者の入り口の段階の免許保有率は5割強というところです。

 その後,免許返納の動きが高まるのか,80歳が36.1%,90歳が7.0%というように,免許保有率が急速に低下します。

 1歳刻みの精密な免許保有率年齢曲線は以上のようですが,これは大都市の東京のものです。公共交通網が乏しい地方県では,様相は異なるものと思われます。私の出身の鹿児島と比べてみましょう。

 上図と同形式で曲線を比較するというのは芸がないので,両都県の人口ピラミッド(男女計)を免許保有状況で塗り分けた図をつくってみました。東京と鹿児島では人口のケタが違いますので,全人口の100%とした相対度数のピラミッドであることを申し添えます。


 いかがでしょうか。鹿児島では,働き盛りの男女のほとんどが免許保有者です。地方では,就労にあたって運転免許が必須となっていることが知られます。教習所通いで授業に出ない(出れない)学生さんは,地方の大学ではもっと多いのだろうなあ。鹿児島大学などはどうなのかしらん。

 高齢層でも,青色の比重は鹿児島のほうが大きいようです。後期高齢者の入り口である75歳の免許保有率は,東京は28.6%,鹿児島は52.7%です。後者では,75歳の男女の半分以上が免許を持っています。まあ,この年齢では,身分証代わりに免許を持っているだけで運転しない人も多いのでしょうが。

 ちなみに鹿児島では,20歳に満たない子どもの年齢層でも免許保有率が比較的高いようです。当県では,高校に上がったばかりの16歳でも,免許保有者は2割弱います。バスも通っていない僻地部では,原付通学を余儀なくされるためです。

 現在,交通事故の防止のため,高齢層の免許返納を促す取組が盛んですが,そのためには,公共交通網の整備が必要条件となります。私はバス通勤ですが,お年寄りにとってバスが重要な足になっているのを感じます。

 職に就けないでいる若年層を,バス運転手のような社会的・公共的需要の高い職業に仕向ける訓練プログラムでもつくってみたらどうかなあ。いや,既になされているのかもしれませんが。

2 件のコメント:

  1. 公共交通網の充実もですし、クリーンで健康的な移動手段である自転車のための安全な走行環境の整備も緊急課題と言えると思います。
    石油燃料車両に頼ってばかりでは、地域は排気ガスや騒音で無用に汚損され、運動不足に起因する生活習慣病やメタボリック症候群の蔓延が誘引されるばかりですから。
    実際、自動車の普及とともに、糖尿病や肥満、高血圧等に伴う心筋梗塞や免疫不全、壊疽、失明、脳梗塞等にかかり人の割合は上昇していったデータを見た記憶があります。
    イギリスではロンドン、ドイツの市街地、フランスではパリ、オランダ、デンマーク等各国各地では、脱自動車が進み、公共交通網の充実と、もっともクリーンで健康的な移動手段である自転車のための環境整備が進んでいると聞きます。イギリスでは、冬季でも自転車レーンの凍結や積雪に対応するため、除雪車や凍結防止剤を撒くなどの対策をしているようです。自動車乱用より、よっぽど地域の環境負荷が少ないから、ということでしょう。日本でも、それぐらいするまでに意識が高まってほしいとおもいます。
    いまや、自動車の蔓延とともに通学路でさえ危険度が急激に上昇し、渋滞による緊急車両の到着遅延や自動車公害の深刻化もありますし、石油燃料車両乱用依存からの脱却が必要なように強く感じます。

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  2. 自分は32で免許を持っていないので保有率の高さに驚きました。
    最近身分証について調べていたのですが、免許が最も一般的で有効な身分証であることから取得を考えています。
    しかし、65歳あたりから保有率が急激に下がるのは謎ですね。
    身分証として有効なはずですが、必要な時は年金手帳や保険証で済ますのでしょうか。
    また社会人でもなければ自動車の運転はそこまで必要ないということでしょうか。それとも年齢的に運転できなくなっていくのでしょうか。
    自動車免許が一般的でない時代を反映してかなとも思いましたが、なんでかはわかりませんね。
    90歳を超えるとほとんど所有してないことから、もしかして免許を持たない人ほど寿命が長い・・・なんて思いましたがそんなわけないですよね(笑)

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