2011年1月28日金曜日

運転免許所有率

 後期の授業もそろそろおしまいです。この時期になると,出席が芳しくなく,単位が危うい学生が必ず哀願にきます。昨日もいました。4年生です。「お願いします」,「どうして出れなかったの」,「免許の教習所に通ってて…」,「…就活というならねえ。教習所通いかあ」,「いや,内定はもう取ってるんです。でも,4月までに,免許とらないといけないんです」,「…」。

 とまあ,こういうやり取りでした。確かに,社会人として働くには,今や,自動車の運転免許はほぼ必須でしょう。警察庁の『平成21年版・運転免許統計』によると,20代の若者の運転免許所有者数はおよそ1,229万人です。当該年齢人口の83%に相当します。全人口(16歳以上)の免許所有率は74%となっています。40年前の1970年では,わずか34%でした。われわれの生活世界で,モータリゼーションが進行していることが分かります。


 では,免許所有率の年齢層別の動向を,例の社会地図で俯瞰してみましょう。所有率が90%を超える場合,黒色としています。いかがでしょう。20代前半では,1990年以降,率が9割を超えています。2009年では,この黒色ゾーンが,40代後半の部分まで垂れてきています。以後,50代の部分も黒色になることが予想されます。

 2009年現在,70歳以上の高齢層の免許所有率は34%です。高齢ドライバーも増えています。事故防止の意図から,高齢層の免許返納を促進する動きがあるようですが,そうする以上,公共交通網の整備が要請されます。

 私は,子どもの頃,バスの運転手になりたいと思っていた時期があります。お年寄りや体の不自由な人を,にこやかな笑顔で運ぶ,公共性の高い仕事だと感じていたからです。でも,労働条件のほうはあまりよくないとか。これからますます需要が高まるであろう,介護や公共交通機関などで働く人たちの労働条件が悪いということは,何とも残念なことだと思います。