2018年2月2日金曜日

保育士の待遇と勤続年数の相関

 今年も認可保育所の選考結果の通知が届き,各地で落選の悲鳴が上がっています。

 保育所不足とは,すなわち保育士不足であり,その要因が超薄給であることはもう,誰もが知っています。

 しかし,保育士のお給料には地域差もあります。厚労省の『賃金構造基本統計』(2016年)によると,同年6月の女性保育士の平均月収(諸手当込)は,全国値は22.2万円ですが,都道府県別にみると,最高の28.0万円から最低の17.8万円までの開きがあります。前者は愛知,後者は福島です。

 この月収額の12倍に年間賞与額を足して推定年収を出すと,全国値は324.7万円で,47都道府県の両端は,最高が愛知の417.1万円,最低は岡山の257.8万円になります。同じ女性保育士でも,収入には地域差があるものですね。

 愛知の女性保育士の年収は,全職業の女性労働者(390.2万円)を上回っています。薄給というイメージが定着している保育士の年収が,全体平均を凌駕する地域もあると。

 こういう地域が他にもあるかどうか,興味がわきますね。保育士と並んで需要が増している介護職員の状況も知りたい。私は,上記の厚労省統計をもとに,女性の保育士,福祉施設介助員(介護職員),そして一般労働者全体の推定年収を都道府県別に計算しました。以下が,一覧表です。


 黄色マークは最高値,青色マークは最低値です。上位5位の数値は赤字にしています。

 保育士の推定年収の上位5位は,愛知,京都,神奈川,群馬,大阪です。愛知,京都,群馬の保育士の年収は,女性全体のそれよりも高くなっています。年収の額は低くとも,当該県の女性全体の年収より高い県は,他にもありますね(岩手,沖縄など)。

 介護職員をみると,全職業の年収を上回るのは富山だけです。本県の女性介護職員の推定年収は390.4万円。2位以下を大きく突き放しています。

 各県の保育士と介護職員の待遇をみるには,年収の絶対額よりも,同じ県の女性労働者全体と比してどうかという指数に注目するのがよいでしょう。左端の全職種の年収を1.0とした場合の指数にすると,以下のようになります。


 保育士をみると,この数値が1.0を超える,つまり女性全体を超える県は,岩手,群馬,山梨,愛知,京都,高知,佐賀,熊本,そして沖縄です。介護職員は富山しかありませんが,0.9を超える県,女性全体と同じくらいの県は結構あります。

 保育士・介護職員というと,薄給というイメージがすっかり染みついていますが,地域別にみると幅があるものです。待遇には地域差があると。

 さて興味が持たれるのは,各県の待遇のレベルが,保育士・介護職員の職場定着とどう関連しているかです。これらの職業の離職率が高いのも知られていますが,その要因としては「給料が安い!」というのが大きいでしょう。

 しからば,左欄の年収相対水準と,右欄の平均勤続年数は相関しているように思えますが,現実はどうでしょう。下図は,保育士のデータで描いた相関図です。


 ほう。明瞭なプラスの相関関係ですね。保育士の年収の対全体比が高い県ほど,保育士の平均勤続年数は長い傾向にあります。保育士をつなぎとめるには待遇の改善が重要である,という当たり前のことを示唆するデータです。

 ちなみに介護職員のデータで相関係数を出すと,+0.5409となります。保育士の場合よりも係数は低いですが,1%水準で有意です。

 現に勤務している保育士をつなぎとめるだけでなく,潜在保育士の復帰を促すなど,なり手を増やす上でも,給与のアップは欠かせないでしょう。潜在保育士が復帰をためらう理由の首位は「給料の安さ」という調査データもあります。

 われわれは,いかなる手を打つべきか。今月半ばに公開される,日経DUALの記事で私見を申し上げようと思います。

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