2017年12月5日火曜日

女子の理系タレントの活用度

 日本は,リケジョが少ない国であることは,もうすっかり知れ渡っています。自然科学・数学専攻の高等教育機関入学者に占める女子比は,2015年でみるとわずか25%,4人に1人です。
http://www.oecd.org/edu/education-at-a-glance-19991487.htm

 国際的にみて,日本は女子の理系学力が高いのに,これはどうしたことか。異国の人からすれば甚だ疑問のようで,OECDのスキル局長は,理系の成績が優秀な「女子生徒が理系を志望しないことが問題」と指摘しています。
http://benesse.jp/kyouiku/201710/20171018-1.html

 そうですねえ。たとえば,理科の成績が優秀な高校生を取り出し,男女の内訳を観察してみると,そんなに大きな偏りはありません。OECD「PISA 2015」において,科学的リテラシーの成績が優秀な15歳生徒(習熟度レベル5・6)の性別内訳は,男子が59%,女子が41%です。
https://nces.ed.gov/surveys/international/ide/

 にもかかわらず,理系専攻の大学入学者の女子比は,冒頭で記したように25%でしかないと。女子の理系タレントがフル活用された場合の期待値(41%)より,だいぶ低くなっています。

 しかし,他国はさにあらず。日本と北欧のノルウェーを対比してみると,下図のようになります。


 理科が得意な生徒の性別構成は,日本もノルウェーも同じです。しかしながら,理系の大学入学者のそれは大きく違っている。日本は「3:1」ですが,ノルウェーはちょうど半々です。ノルウェーでは,期待値を上回ってすらいます。

 なるほど。OECDの局長が言うように,日本では,理系の成績が優秀な女子生徒が「理系を志望しない」というのは,確かなようです。上記は日諾比較ですが,比較の対象を増やすと,日本の特異性が分かってしまいます。

 以下に掲げるのは,横軸に理科が得意な15歳生徒の女子比,縦軸に理系専攻の高等教育機関入学者の女子比をとった座標上に,OECD加盟の26か国を配置したグラフです。米仏は,縦軸のデータが得られないので,分析対象に含めていません。


 ご覧のように,日本は諸国の群れから外れた位置にあります。縦軸の値が極端に低いからです。理科が得意な高校生の女子比は中ほどですが,理系の大学入学者のそれは,他国と大きく水を開けられています。

 図の斜線の数値は,縦軸の値が横軸の何倍かという倍率です。この値が高いほど,女子の理系タレントが活用されていることになります。

 1.0は,女子高生の理系タレントがフル活用された場合の期待値ですが,これを大幅に下回っているのは日本だけです。横軸が41%,縦軸が25%ですので。

 他の国はいずれもこのラインよりも上にあり,ポルトガルなどの4国は1.5倍以上です。ポルトガルは,理科が得意な生徒の女子比は35%ですが,自然科学専攻の大学入学者の女子比は59%にもなります。わが国と全然違いますね。

 女子の理系タレントの活用度を可視化すべく,この倍率が高い順に26か国を並べてみましょう。


 何も言いますまい。日本の活用度は最下位,裏返すと浪費度がダントツでトップです。

 昨日のニューズウィーク日本版に「イスラム圏にリケジョが多い理由」という記事が載っています。答えはズバリ,試験の成績によって専攻が(機械的に)振り分けられるからだそうです。
https://twitter.com/noguchi_y/status/937658966976466944

 極端な話,日本もこうすれば,リケジョが増えることは間違いありません。しかしこれは当人の意向を無視することで,現実の選択肢としてはあり得ないでしょう。

 やはり内発的なアスピレーションそのものを高めないといけないのですが,理系教科ができる女子を特別視しなこと。まずは,これに尽きます。

 それと,進路選択を控えた中高生の女子生徒に,リケジョの役割モデルを見せること。そのための一番の戦略は,中高の理系教員の女性比率を高めることです。日本は,この部分でも弱い。
http://tmaita77.blogspot.jp/2014/06/blog-post_28.html

 理科・数学教員の女性比率と,女子中学生の理系職志望率の間に相関関係がみられるか。『全国学力・学習状況調査』のデータに設問をちょっと潜ませ,学校単位・市区町村単位のデータで分析してみるのもいいと思いますが,どうでしょうか。

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