2017年11月5日日曜日

年齢別の在籍学校

 年齢が分かったら,その人がどのライフステージ(教育期,仕事期,引退期…)にいるか見当がついてしまう。「エイジ」と「ステージ」が硬直的に結びついた社会。

 変動が速く,かつ人生100年の時代にあっては,こういう社会の仕組みは変えないといけない。リンダ・グラットン教授の名著『ライフ・シフト』で言われていることですが,その典型は日本でしょう。

 学校に通っている子ども・若者をとっても,年齢から当人の在籍学校は容易に言い当てることができます。7歳なら小学校,14歳なら中学校,17歳なら高校,21歳なら大学というように。

 その様は統計でも分かります。2010年の『国勢調査』では,何らかの学校に通っている通学者の在籍学校を,年齢別に集計しています。0~22歳の内訳を帯グラフにすると,以下のようになります。数値の出所は,下記リンク先の表13-1です。


 6歳,15歳,18歳といった節目の年齢を除くと,各年齢の在籍学校はほぼ一様に決まっています。7~14際の子どもは,ほぼ100%が小・中学生です。

 学校教育法で,この年齢の子ども(学齢児童・生徒)は,小・中学校への就学を義務付けられていますので,当然といえばそうなのですが。

 しかるに,諸外国ではそうではありません。内閣府の『我が国と諸外国の若者の意識に関する調査』(2013年)では,13~29歳の生徒・学生の在籍学校を調べています。いま,13~15歳の生徒を取り出し,在籍学校の内訳を国ごとに比べてみると,下図のようになります。ローデータを加工して,独自に作成したグラフです。


 日本ではほぼ100%が中学ないしは高校ですが,諸外国はさにあらず。韓国では7.813人に1人),アメリカでは4.1%(24人に1人)が大学・大学院に籍を置いています。優れた才能を持つ者は,年齢に関係なく大学に入学できる「飛び級」の制度が普及しているのでしょう。

 日本でも飛び級の制度はありまが,「高校に一定年数以上在籍したこと」という条件なので(学校教育法90条),10代前半の青少年が大学に入ることはできません。義務教育段階では,落第もなければ飛び級もない「年齢主義」になっています。*落第の国際比較は下記記事。
http://tmaita77.blogspot.jp/2015/12/2012.html

 しかるに,14歳で数学検定1級をとったとか,小学校低学年で優れた文芸作品を発表したとか,幼くして才能を発揮する子どももいます。それを伸ばすことも求められるでしょう。
 
 教育,とりわけ義務教育の目的は「調和のとれた人間形成」ですが,金太郎飴のごとく,均質な「バランスのとれた」人間を育てる必要はありますまい。斬新なイノベーションが重要となる21世紀では,バランスに欠けていても,特定分野の才能がずば抜けた逸材がもっと出てきてもいい。

 堀江貴文さんが「バランスのとれた人間はつまらない」と言われていますが,言い得て妙だと思います。皆が同じ時間に出社し,同じ服を着て,同じやり方でモノを大量生産する「20世紀型」の工業社会は終わっています。

 日本の労働生産性の低さは,年齢による役割規範が強すぎること,年齢によって才能を抑えつける風潮があることとも関連しているでしょう。

 何かにつけて,わが国では年齢が問われるのですが,悪しき年齢主義を打破するには,履歴書の年齢記入欄を撤廃することから始めるのもいいかもしれませんね。履歴書に年齢記入欄を設けること,求人票に「*歳まで」と書き込むなどは,諸外国では差別以外の何物でもありません。

 少子高齢化社会,イノベーション社会では,年齢主義は排除されるべきものです。

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