2017年10月9日月曜日

首都圏の大学学部別の公務員・教員就職率

 前回は,母校・東京学芸大学と文教大学教育学部について,卒業生の教員就職率を出してみました。資料は,旺文社の『大学の真の実力 2018年度用』です。
https://www.obunsha.co.jp/product/detail/051009

 各大学の学部別に,公務員就職者数と教員就職者数が分かる,スグレモノです。私はこれを使って,公務員就職率と教員就職率の分布を明らかにしたいと考えました。また上位の20位を拾い,「公務員(教員)になるならココ」という情報も出したいと思いました。

 ひとまず首都圏(埼玉・千葉・東京・神奈川)の分だけ,データベースを作りました。それぞれの学部について,就職率の算出に必要なデータを入力した次第です。その数,720学部なり。



 公務員(教員)就職率を出すに当たっては,就職の意思のない大学院等進学者を,卒業生全体から除いた数をベースにしました。東京学芸大学教育学部でいうと,今年春の卒業生は1131人,進学者は213人,教員就職者は317人ですので,教員就職率=317/(1131-213)=34.5% となります。これは,前回の記事で明らかにしたことです。

 公務員(教員)就職者が非公表であるなど,率の計算ができない学部,分母(卒業生から進学者を除いた数)が50人に満たない学部は,分析対象から外します。

 私はこのやり方で,首都圏の664学部の公務員就職率,649学部の教員就職率を明らかにしました。下表は,その分布です。

 なお,本資料に計上されている就職者数は,フルタイムの雇用形態のようですので,臨時職員や時間講師の類は含まれないと思われます。フルタイムの公務員(教員)就職率です。


 公務員や教員になる学生は多くないので,就職率が5%ないしは10%未満という学部がほとんどです。

 私の母校・東京学芸大学教育学部は,公務員就職率が5.1%,教員就職率が34.5%ですので,表の黄色マークの階級に属します。

 しかし,率が高い学部もありますね。公務員就職率のマックスは48.9%,教員就職率のそれは79.5%です(いずれも私立)。教員就職率およそ8割。前回みた文教大学教育学部の74.8%をも凌駕していますが,どこかしら。

 では,首都圏の大学の学部のうち,公務員就職率ないしは教員就職率が高い学部の顔ぶれをみていただきましょう。まずは,前者の上位20位です。表の「母数」は,パーセンテージの分母となった数(=卒業生数-進学者数)です。


 トップは,日本文化大学ですか。公務員就職率48.9%,およそ半分。公務員に強い大学として定評があり,公務員志望者向けの「公共コース」,警察官・消防官向けの「法心理コース」といった課程を設けているようです。
http://www.nihonbunka-u.ac.jp/about/feature/

 その次は,同じ八王子市にある創価大学看護学部。そして3位は,東京大学・法学部です。多くが国家公務員でしょう。

 上位20学部の内訳は,国立が10,私立が9で,公立は首都大学東京の都市環境学部がランクインしています。

 次に,教員就職率です。わが母校・東京学芸大学は,首都圏の上位20位にランクインするか。50%以上,進学者を除く卒業生の半分以上が教員になる学部は赤字にしました。


 トップは,千葉の秀明大学です。文教を上回るって,ここですか。「学校教師学部」と名にふさわしく,強いですねえ。全寮制で,1年次から学校現場で研修をしているそうです。
http://www.shumei-u.ac.jp/faculties/edu/index.html

 3位は鎌倉女子大学の教育学部で,4・5位が千葉大と埼玉大の教育学部となっています。私が出入りしていた武蔵野大学の教育学部は48.1%で9位。割と頑張っているんだな。

 母校・東京学芸大学(34.5%)は,首都圏の649学部の中では17位となっています。横国は19位。前回も書きましたが,ゼロ免課程の学生が結構おり,この部分を除けば率はもっと上がるでしょう(それは千葉大や埼玉大の教育学部も同じですが)。

 14位の聖徳大学児童学部は,亡き恩師・陣内靖彦先生が,学大を定年後に行かれたところです。

 上記の2つの表は,「公務員(教員)になるならココ」という情報にもなるかと思います。これは首都圏(1都3県)のデータです。射程を全国に広げれば,顔ぶれはガラリと変わるでしょう。過激な広告で知られる,関西の雄・近畿大学は強そうだな。

 どなたか時間のある方,関西版をぜひやってみてください。旺文社の『大学の真の実力 2018年度用』は,2300円です。