2017年2月25日土曜日

夫婦の馬力の国際比較

 現在は,夫婦「二馬力」が求められる時代。随所で言われていますが,男性の腕一本で家族を養える時代など,とうに終わっています。社会の側にしても,労働力が減少する中,これまで家庭の中に籠っていた女性の就労を促すのが急務となっています。

 先日,面白いツイートをみかけました。フルタイム就業=1.0点,パート就業=0.5点とした場合の,夫婦の点数分布の国際比較図です。夫婦ともフルタイムの場合は2.0点ですが,北欧諸国はこのタイプが最も多くなっています。
https://twitter.com/Kelangdbn/status/833697234457817088

 日本のデータはないようですが,「夫フル+妻パート=1.5点」という夫婦が最多でしょうか。それとも,「夫フル+妻無業=1.0点」が最も多いでしょうか。

 上記のツイートで紹介されているのは,ヨーロッパの17か国のデータですが,もっと多くの国のデータも見たい。私は,OECDの国際学力調査「PISA 2012」のデータを加工して,それを独自に作ってみました。

 この調査では,15歳の生徒に対し,父母の従業上の地位を尋ねています。選択肢は,①フルタイム就業,②パートタイム就業,③失業,④主婦(夫),の4つです。③と④は「無業」と括りましょう。

 こうすると,各生徒の父母の就業タイプは,以下のように分けられます。15歳生徒の父母ですから,私と同じ40代前半くらいかと思われます。


 セルの数値は,夫婦の馬力の合計点です。父母ともフルタイムの場合は2.0点,「父フル+母パート」は1.5点,「父フル+母無業」は1.0点という具合です。

 日本の15歳生徒のうち,父母双方の従業地位を回答したのは5,701人となっています。さすがPISA調査。十分なサンプルサイズです。上表の枠組みに依拠して,各生徒の父母(夫婦)の馬力スコアの分布を出すと,2.0点が33.7%,1.5点が38.8%,1.0点が25.0%,0.5点が1.7%,0.0点が0.8%,となります。

 最も多いのは,1.5点ですね。先に記した通り,「夫フル+妻パート」のタイプでしょう。ごくわずかですが,「夫パート+妻フル」の夫婦もいますけど。

 では,他国はどうでしょう。下のグラフは,主要7か国の馬力スコアの分布図です。各国の15歳生徒の回答に依拠しています。


 どうでしょう。夫婦ともフル(2.0点)のシェアに注目すると,日本はドイツに次いで低くなっています。最も高いのは予想通り,北欧のスウェーデン。全体の6割が二馬力の夫婦です。

 日本とドイツ以外の国では,二馬力の夫婦が最も多くなっています。わが国といろいろな面で似ている韓国も,二馬力夫婦が42.1%で最多です。もっともこの国では,一馬力(≒夫フル+妻主婦)のタイプも多く,夫婦の就業タイプが分化しているようです。

 「PISA 2012」のデータから,もっと多くの国の分布を知ることができます。その数は64か国。全ての国ついて帯の分布図を描くのは煩雑ですので,マックスの二馬力夫婦の比率を拾うことにしましょう。

 下表は,夫婦ともフルタイムの二馬力夫婦の比率が高い順に,64の社会を並べたランキング表です。


 上位には,旧共産圏や北欧の国々が挙がっています。全体の6~7割が,夫婦ともフルタイム就業の二馬力夫婦です。旧共産圏の社会では国民皆労働の伝統が強いので,女性のフルタイム就業率が高いのでしょう。

 下位には,イスラームの国々が位置しています。女性はあまり外に出ないという,文化的(宗教的)理由によります。これらの国では,馬力スコアが0.0点,つまり夫婦とも無業というタイプも結構いるのですよねえ(トルコは全体の26.9%)。外国人労働者に任せているのでしょうか。

 日本は64か国中42位で,下から数えたほうが早いです。日本の働き盛りの夫婦の「二馬力」比率は,3分の1くらい。まだまだ,これを高める余地はありそうです。

 ちなみに,夫より妻が働いているタイプの夫婦もあります。最初の表の黄色マークのセルに該当する夫婦です。ジェンダー観念の相対化という意味で,この比率の国際比較も面白そうですね。それは,回を改めてすることにいたしましょう。

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