2017年4月30日日曜日

2017年4月の教員不祥事報道

 4月も終わりです。私はここ毎日,お昼ご飯を食べた後,予約した本を借りにコミュニティセンターまで歩くのですが,汗ばむ陽気です。半袖と半パンを出しました。

 しかし夕刻はまだ冷えます。5時に「夕焼け小焼け」が流れると,海辺のサイクリングに行きますが,この時は上下のジャージを着ます。荒崎公園の管理人の人には,いつも夕刻に来る「ジャージの兄ちゃん」と覚えられていることでしょう。

 今月,私がネット上で把握した教員不祥事報道は27件です。北九州市の採用後間もない中学校教員が,児童ポルノ製造で逮捕された事件には驚きました。厳格な試験をパスした精鋭なのにと,地元の教委もさぞショックでしょう。

 万引きや横領といった財産犯も目につきます。教員は融資が一発で通るので,ついつい借り過ぎ,借金で首が回らなくなる。後々の自分の給料もきっかり予測できますので,「これでは返せない」と,犯行に及ぶのでしょうか。「先が見える」って,ある意味不幸なことだなと感じます。

 明日から5月です。よいGWをお過ごしください。私は谷間の明日か明後日に,出かける予定です。横須賀市北東の観音崎公園に行こうかなと思ってます。私が住んでいる長井地区(南西)とは,対極のエリアです。あるいは,三浦半島南端の城ケ島にするか。

 ブログの背景を若葉模様に変えます。

<2017年4月の教員不祥事報道>
教師が生徒暴行、白岡の中学校 市教委に報告せず
 (4/1,埼玉新聞,埼玉,中,男,20代)
中学教諭、生徒の尻を回し蹴り 6人に体罰(4/5,朝日,奈良,中,男,53)
女児、教室に閉じ込め? 「担任指示で机並べられ」
 (4/5,朝日,京都,小,女,51)
小学校のテスト、返却も採点もせず 教諭「忙しくて」
 (4/6,朝日,東京,小,男,35)
わいせつ疑い中学教諭逮捕 防犯カメラ映像から浮上 
 (4/6,日刊スポ,栃木,中,男,36)
高校教諭、17歳の女子高校生を買春(4/6,産経,新潟,高,男,30)
酒気帯び疑いで中学教諭逮捕 付近の住民が通報(4/7,産経,島根,中,男,38)
強盗容疑で小学校教諭を逮捕(4/9,神奈川新聞,神奈川,小,女,27)
高校臨時教員を酒気帯び運転で逮捕(4/9,沖縄タイムス,沖縄,高,男,26)
元職場の中学校で窃盗…犯行後に2階から飛び降り大けがで御用
 (4/10,産経,和歌山,中,男,25)
北九州の新任中学教諭逮捕 児童ポルノ製造疑い
 (4/10,共同通信,福岡,中,男,22)
公然わいせつ:下半身露出の高校教諭逮捕(4/12,毎日,茨城,高,男,599)
「写真をネットにバラまくぞ」高校講師逮捕、交際女性に下着姿画像送らせる
 (4/12,産経,兵庫,高,男,33)
「別れたら復讐する」10代女性へのストーカー疑いで高校教諭を逮捕
 (4/13,産経,北海道,高,男,49)
懲戒処分:ストーカーなど中学2教諭
 (4/15,毎日,富山,ストーカー:中男38,死亡事故:中男48)
住宅に侵入40万円盗む 容疑の高校教諭逮捕(4/16,産経,静岡,高,男,32)
私的流用で小学校校長を懲戒免職(4/18,RCCニュース,広島,小,男,)
広島市立高教諭 ATMで現金盗んだ疑いで逮捕
 (4/18,RCCニュース,広島,高,女)
教諭、事前に問題と正解教える…全国学力テスト(4/19,読売,茨城,中,男)
女子中学生に金を渡し淫行、中学教諭逮捕
 (4/20,沖縄タイムス,沖縄,中,男,43)
海城中高、生徒ら8千人の情報紛失 USB忘れる
 (4/21,朝日,東京,高,男,47)
小学校教頭がセクハラで懲戒処分 (4/21,テレビ長崎,長崎,小,男,57)
不倫を暴露すると女性脅す 恐喝未遂容疑で小学校講師の男を逮捕
 (4/22,産経,和歌山,小,男,30)
ろう学校の教諭逮捕=コンビニで盗撮容疑
 (4/25,時事ドットコム,高知,特,男,27)
スーパーで食料品を万引、小学校女性教諭を免職(4/26,産経,兵庫,小,女,25)
教え子2人にキスや性交渉、前教頭を懲戒免職(4/27,朝日,愛知,高,男,53)
酒気帯び容疑で高校教諭を逮捕(4/30,河北新報,宮城,高,男,54)

2017年4月28日金曜日

大学生の奨学金利用率の地域差

 日本学生支援機構が,大学ごとに学生の奨学金利用率や返済遅延率が分かる資料を公開してくれました。
https://www.sas.jasso.go.jp/ac/HenkanJohoServlet

 個々の大学ごとに検索をかけて逐一データを呼び出さないといけませんが,私は全国の700余りの大学のデータを採取し,データベースを作る作業をしました。昨日,それがようやく完了したところです。


 苦労をねぎらってくれた人もいましたが,結構しんどかった。おカネのある研究者は,こういう作業は助手やバイトにさせるんでしょうが,私は自前でしないといけません。
https://twitter.com/never_be_a_pm/status/857530842138071040

 これを使って,奨学金利用率や返済遅延率の分布などを出せますが,私がまず明らかにしたいのは,奨学金の利用率の地域差です。おそらく,所得水準の低い地方の大学の学生は,利用率が高いのではないか。借金を背負って学んでいる学生が多いのではないか。地方出身者なら,誰もが抱く仮説でしょう。

 上記のデータベースでは,各大学の学部学生数(2015年度)と,そのうち奨学金の貸与を受けた者の数を打ち込んでいます。これを県ごとに集計し,割り算をすることで,大学生の奨学金利用率を都道府県別に計算できます。分析対象は,全国729大学の学生280万9526人です。

 東京でいうと,2015年度の学部学生は100万9683人,このうち奨学金を借りた学生は24万2345人ですので,奨学金の利用率は24.0%となります。およそ4人に1人。しかし,私の郷里の鹿児島だと利用率は55.0%と半分を超えます。

 違うもんですねえ。私は東京学芸大学と鹿児島大学で学生時代を過ごしましたが,後者のほうが奨学金を借りている学生が多かったであろうことは,肌感覚でも分かります。

 では,他の県はどうでしょう。同じやり方で奨学金の利用率を出し,高い順に並べたランキング表にしてみました。断っておきますが,これは大学の所在地に基づくデータです。


 どうでしょう。左上をみると,トップは青森の63.05となっています。この県の大学生は,6割が奨学金を借りて学んでいると。2位は沖縄で,そこから7位までは見事に九州県で占められています。うーん。

 対して右下をみると,首都圏や中部の県では,奨学金利用率が相対的に低くなっていますね。最低は千葉の22.3%で,青森の約3分の1です。

 地図に落としてみると,地域性が際立ちます。濃い色は50%超ですが,九州は福岡の除いて軒並み濃い色で染まっています。


 むーん。各県の所得水準とリンクしているような気がしますねえ。青森や沖縄は所得低いですし。大学生の親世代(45~54歳)の男性の平均年収を県別に算出し,上表の奨学金利用率との相関をとってみました。前者の年収は,総務省『就業構造基本調査』(2012年)のデータをもとに計算したものです。


 予想通り,強い相関関係が検出されました。年収が低い県ほど学生の奨学金利用率が高いという,マイナスの相関関係です。相関係数は-0.8近くにもなります。所得水準の低い県では,借金を負って学んでいる学生が多し。

 まあ奨学金というのは,貧しい家庭の学生に貸与されるものですから,当然といえばそうです。上記の相関図は,地方の学生に対する高等教育機会の提供に,奨学金が一役買っていることの証左ともいえます。奨学金がなかったら,高等教育機会の地域格差は凄まじいものになるでしょう。

 しかしご存知のように,奨学金とは「名ばかり」で,実質は返済義務のあるローンです。近年は有利子化も進んでいます。借りた奨学金を返せず,人生に破綻をきたす学生も少なくない。上記の図は,そうしたリスクにさらされる頻度が,地方の学生ほど高いことを示しています。

 高等教育の機会均等を具現するには,奨学金を貸し付けるのではなく,大学の学費の減免枠を増やすのがいいと,私は前から思っています。今の高校では,一定の所得以下の家庭の生徒には,就学支援金が支給されますが,これを大学に適用するのもいいでしょう。

 大学の授業料無償化がいわれていますが,一律にこれをやると,富裕層を優遇することになりかねない(金持ちだらけの大学もありますので)。やるなら,所得制限を設けるべきでしょうね。

 それと,地域の所得水準(物価)を勘案し,大学の学費に傾斜がつけられてもいいでしょう。私が学んだ東京学芸大学も鹿児島大学も学費は同じ。しかるに,東京と鹿児島では,親世代の年収に1.5倍以上の開きがある(上記散布図の横軸)。前から,これはおかしいと感じていました。

 今回のデータは,奨学金の順機能を言いたいがために出したのではありません。地方には,無理をしてリスクを負って学んでいる学生が多い。これを言いたかったからです。

2017年4月27日木曜日

幼子がいる母親の就業率マップ(2015年)

 2015年の『国勢調査』の第2次集計結果が公表されました。国民の労働力状態の集計結果です。労働問題の研究者は「待ってました!」と,喝采の声を上げていることでしょう。私もそうです。
http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/GL08020101.do?_toGL08020101_&tstatCode=000001080615&requestSender=search

 失業率,若者の無業率,女性の労働力率のM字カーブが過去に比してどう変わったか。地域別の傾向はどうか…。いろいろ明らかにできますが,私はまず,就学前の乳幼児がいる母親の就業率がどう変わったかに関心を持ちます。

 ここ数年,この問題の重要性が認識され,保育所の増設,保育士の待遇改善などが図られてきました。上記の指標を手掛かりに,その成果を拝見といきましょう。

 私は,6歳未満の子がいる核家族世帯(夫婦あり)のうち,妻が働いている世帯の割合を計算してみました。2015年の『国勢調査』のデータによると,分母が349万2147世帯(妻の就業状態が不詳の世帯は含まず),分子が179万7107世帯です。よって求めるパーセンテージは,51.5%となります。

 2015年の最新データでみると,就学前の幼子がいる母親の就業率は51.5%ですか。5年前(2010年)の『国勢調査』のデータでは,同じ値は41.3%でした。この5年間で,10ポイントほど伸びていることになります。近年の政策の効果といえましょう。

 これは全国の値ですが,地域単位でみるとどうか。都道府県よりも下った,より身近な生活圏の市区町村レベルで,上記の指標を出してみました。観察対象は,首都圏(1都3県)の市区町村です。

 下図は,結果を地図に落としたものです。50%(半分)を超える市区町村に色がつくようにしてみました。


 ほう。色つきの地域が増えていますね。2010年では28でしたが,5年を経た2015年では97の市区町村で,幼子がいる母親の就業率が50%を超えています。

 しかるに,そのラインに満たない白色のゾーンが広いのは相変わらずで,私が住んでいる神奈川県は,2015年でも全体的にほぼ真っ白です。ちなみに,私が居を構えた横須賀市は40.4%なり。低い…。

 さて,幼子がいる女性の社会進出チャンスは,色の濃淡で見て取れるのですが,言わずもがな,子どもを預けることができる保育所の量と相関しているでしょう。今回見ているのは核家族世帯のデータですので,三世代世帯の量の影響は除かれています(近居の影響はあるかもしれませんが)。

 試みに,2013年の乳幼児の保育所在所率との相関をとってみましょう。分子は同年10月1日時点の認可保育所在所者数(厚労省『社会福祉施設等調査』)で,分母は3月31日時点の0~5歳人口(総務省『住民基本台帳による人口』)です。

 この指標を横軸,幼子がいる母親の就業率(2015年)を縦軸にとった座標上に,1都3県の242市区町村を配置すると以下のようになります。


 やはりですね。保育所に在籍している乳幼児の率が高い地域ほど,母親の就業率は高し。相関係数は+0.7147にもなります。まあ当たり前といえばそうですけど。

 私が住んでいる横須賀市の位置も分かりました。状況改善の余地はまだあり,というところでしょうか。

 最後に参考資料として,2015年の母親の就業率の市区町村別一覧表を掲げておきます。242の地域を高い順に並べたランキング表です。ご自分の地域の印をつけてみてください。


 神奈川県の地域は,右下に寄ってしまっている。児童福祉関係の部署のみなさん,参考になさってください。

2017年4月25日火曜日

大学進学展望のジェンダー差の国際比較

「どの段階の学校まで進みたいか?」。青少年を対象としたアンケートでよく設けられる問いですが,大学進学率が50%を超えている日本にあっては,多くが大学ないしは大学院まで行きたい,と答えるでしょう。

 しかるに性別の差,ジェンダーの差もあると思います。昔は,女子には大学教育は不要という考えが強かったですから,勉強が好きでも進学を止められる少女が少なくありませんでした。私の母親(1940年生)もその一人で,進学を止められたそうです。

 今でも,男女の子どもが2人いて,経済的事情で1人しか大学にやれないとなったら,勉強の出来に関係なく男子優先。こういう家庭もあるかもしれません。言いたくはないですが,私の郷里の鹿児島では,その度合いが顕著なような気がする。私は毎年,47都道府県の大学進学率を性別に出していますが,どの年でも,ジェンダー差が最も大きいのはこの県なのです。

 2016年春の18歳人口ベースの大学進学率は,鹿児島でみると男子が41.4%,女子が30.1%で,10ポイント以上も開いています。
http://tmaita77.blogspot.jp/2016/08/2016.html

 これは国内比較ですが,視界を広げて国際比較をしたいなと思っていたところ,OECDの「PISA 2015」の生徒質問紙調査にて,以下ような設問があるのを知りました。問11です。


 どの段階の教育まで終えることができると思いますか,という問いです。「want」ではなく「expect」ですので,自分の将来を予想してもらうものです。

 選択肢は6つ提示されていますが,ISCEDとは教育の段階分けの国際標準をいいます。レベル2は義務教育,3B~Cは後期中等教育の職業課程,3Aは後期中等教育の進学準備課程,4は高等教育とはみなされない中等後教育,5Bは職業的な高等教育,5A~6はアカデミックな高等教育(3年以上)を指します。

 日本でいうと,レベル2は中学,3B~Cは高校専門学科,3Aは高校普通科,4は専修学校,5Bは短大・高専,5A~6は大学・大学院ということになるでしょう。

「PISA 2015」の調査対象は15歳生徒ですが,当然,回答の分布は国によって違っています。レベル4以下は一つにまとめて,3段階の回答分布を日米で比べると下図のようになります。ジェンダー差も見ます。サンプルサイズは,日本の男子が3270人,女子が3281人,アメリカの男子が2974人,女子が2817人。無解答を除いた,有効回答分です。


「5A or 6」と答えた生徒が,自分は大学まで行けると思っている生徒です。アメリカのほうが高いですね。現実にも,この国大学進学率は日本を上回っているのですが。

 しかるに注意すべきは,ジェンダーの差が日米ではになっていることです。日本では男子が64.4%,女子が52.8%と,男子のほうが10ポイント以上高いのですが,アメリカでは女子のほうが高くなっています。

 これは,短大やコミュニティカレッジなどは含まない,大学・大学院の進学展望率です。まあこの中にも,教養重視のコースや高度専門職の資格のコースなど,いろいろありますが,男女差が両国で反対なのは面白い。

 はて国際的にみて,日本とアメリカのどっちのタイプがマジョリティなのでしょうか。私は53の国について,「5A or 6」の段階まで進むと思うと答えた生徒の割合を男女別に出してみました。大学進学展望率と名付けましょう。

 下表は結果の一覧です。


 色付きの主要国をみると,日本,韓国,アメリカは率の水準が高いですね。進学率が高く,大学教育がユニバーサル段階に達している国です。余談ですが,今朝,韓国の高学歴者の失業問題を報じた記事を見ました。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170425-00027148-hankyoreh-kr

 しかし注目すべきは男女差です。日本とドイツを除いて,どの国も「男子<女子」ではないですか。ドイツも微差で,日本ほど「男子>女子」の傾向がクリアーではありません。

 表を全体的にみても,大学進学展望率は男子より女子が高い国がほとんどです。男子が女子より10ポイント以上高い国なんて,日本以外に見当たりません。

 表の数値の羅列では分かりにくいので,男女差をグラフで「見える化」しちゃいましょう。横軸に男子,縦軸に女子の大学進学展望率をとった座標上に,53の社会を配置します。斜線は均等線で,この線より上にある国は「男子<女子」です。


 ぐうう。日本とドイツを除く全ての国が斜線より上にあるじゃないですか。これは驚きです。短大のような短期高等教育は含まない,大学・大学院の進学展望率ですが,国際的にみると「男子<女子」の国がほとんどなのですね。

 女子は教養重視の課程を志望する子が多いのかもしれませんが,それは日本も同じでしょう。にもかかわらず,日本の特異性が怖いくらい浮き出ている。

 15歳の時点でコレです。日本は,教育アスピレーションのジェンダー分化(gender segregation)が最も早い社会といえるかもしれません。カリキュラムの専門分化が起きる前の,義務教育を終えて間もない時点でこうなってしまっている。

 いつ頃からこうなるのか,どういう地域の学校でそれが顕著か。小6と中3を対象とした悉皆調査の『全国学力・学習状況調査』のローデータが研究者に提供されることになるそうですが,それをフルに使って,児童期・思春期における「ジェンダー的社会化」のプロセスが解明されるといいなと思います。

 小6と中3のデータを同一世代で接合することで,こういう分析も可能になるでしょう。

2017年4月21日金曜日

大学タイプ別の奨学金利用率・延滞率

 日本学生支援機構が,「学校毎の貸与及び返還に関する情報」という資料をHP上で公開しました。字のごとく,学校ごとに奨学金の貸与者数や返還の延滞者数などが分かるものです。
https://www.sas.jasso.go.jp/ac/HenkanJohoServlet

 私の母校の東京学芸大学のデータを呼び出してみると,2015年度の学生数は4824人で,このうち奨学金貸与者は1540人。よって奨学金の利用率は31.9%,およそ3人に1人となります。私も,その恩恵にあずかっていた学生の1人です。

 奨学金といっても借金ですので,学生時代に借りていた人は卒業後にちょっとずつ返すわけですが,経済的理由などで返済が滞っている人の割合はどれくらいでしょう。

 2010~14年度の5年間における,同大学の奨学金貸与終了者数は2646人です。借用書を提出し返済義務を負っている人たちですが,このうち,2015年度末の時点において,3か月以上返済が滞っている人(延滞者)は15人。出現率にすると0.6%ほどです。

 これが東京学芸大学の奨学金利用者の返済延滞率ですが,まあ低い部類に入るでしょうね。教員養成大学の老舗で,卒業生の多くは教育公務員になりますので(私みたいな半フーテンもいますが)。

 しかるに,大学によって値は大きく異なるでしょう。一口に大学といっても,国公私立の大学がありますし,量的に多い私立大学は,入試難易度によって精緻に階層化されています。

 興味が持たれるのは,こうした大学のタイプによって,学生の奨学金利用率や,奨学金利用者の返済延滞率がどう異なるかです。ユニバーサル段階(大学進学率50%超)に到達している,わが国の大学教育の「見えざる」病理が明らかになるかもしれません。

 私は上記サイトの資料をもとに,関東甲信越・東京の大学のデータベースを作ってみました。私立大学については,入試偏差値も明らかにしました(資料はココ)。擁している学部の偏差値を平均し,当該大学の偏差値とした次第です。

 こんな感じのデータベースです。


 関東甲信越・東京(1都9県)のデータですが,260の大学について,奨学金利用率,延滞率,入試偏差値を得ることができました。

 私は,分析対象の260大学を,8つのグループに分けました。①国立,②公立,③私立A(偏差値60以上),④私立B(55~),⑤私立C(50~),⑥私立D(45~),⑦私立E(40~),⑧私立F(40未満),です。

 まずは,この8つのグループごとに,学生の奨学金利用率がどう違うかをみてみましょう。分母の学生数と,分子の貸与者数をグループごとに集計し,割り算をしました。下表をご覧ください。


  奨学金の利用率は,国立が29.9%,公立が40.0%,私立が27.8%となります。公立で高いには,地方の低所得層の学生が多いためでしょう。公立大学の機能は,こうした層の若者に高等教育の機会を供することです。

 意外にも私立が最も低くなってますが,いわゆるランク(偏差値)によって値が違っています。偏差値60以上のAランクでは21.8%ですが,最低のFランクでは40.0%です。俗にいう「Fラン」では,経済的に苦しいが,無理をして大学に来ている学生も少なくないでしょう。私もこの手の大学で6年間教えましたが,その経験に照らしても頷けます。

 では,借りた奨学金をちゃんと返せるものなのか。同じく大学のタイプ別に,奨学金返済の延滞率を出してみましょう。


 むうう。こちらはきれいな傾向がありますね。国立よりも公立,私立大学の内部では,大よそランクが下がるほど,奨学金の延滞率が高くなっています。Aランクでは0.91%ですが,Fランクでは2.69%,およそ37人に1人です。

 率の水準は高くはないですが,こうも明瞭な傾向が見出されることに,ちょっと驚かされます。「奨学金が支えるFランク」,「Fランクは,ATMのあるパチンコ屋のようなもの」という論もありますが,的を得ている気がしないでもない……。
http://toyokeizai.net/articles/-/114808

 大卒学歴が欲しいばかりに,奨学金という借金を背負って,無理をして入ってくる。卒業後,それが返せなくて人生が破たんする。こういう「死」のコースに若者を呼び込んでいるのだとしたら,果たして存在意義はあるのか。先述のように,私はこの手の大学で6年間教えましたが,教育機関として機能してない……。在学中にかけて,学生の覇気がなくなってくるように感じました。

 この大学の学生から,「先生は,俺らが食わせてるんですよね」と言われたことがありますけど,私は何も反論しませんでした。教育機関としてではなく,そこに在籍する教員を食わせるためにある。そんな思いがぬぐえなかったからです。

 言葉がよくないですが,ユニバーサル化した,日本の大学教育の病巣を見る思いです。今後,この部分がますます広がるとしたら恐ろしい。

 気が滅入ってきましたので,話題を変えましょう。上記の奨学金利用率,延滞率は,大学の立地するエリアによっても違っています。ここで分析対象としているのは,関東甲信越・東京の260大学ですが,東京の大学とそれ以外の大学に分けて,2つの指標を計算すると,差が見られます。

 下図は,結果のグラフです。指標の定義は,先に掲げた2つの表をご覧ください。


 学生の奨学金利用率は,東京では24.0%ですが,それ以外の9県(茨城,栃木,群馬,埼玉,千葉,神奈川,新潟,長野,山梨)では39.3%です。返済の滞り率も,東京以外の県の大学のほうがちょっと高くなっています。

 所得水準の低い地方では,奨学金に依存せざるを得ない家庭が多いのでしょう。分析対象を全国に拡張したら,もっと明瞭な傾向が出てきそうです。沖縄や東北の奨学金利用率をざっと見てみると,6~7割の大学がザラです。延滞率も4~5%という,高率の大学も少なくありません。

 その気になれば,47都道府県別に,奨学金の利用率と延滞率を計算することができます。データベース作りに時間がかかりますが,結果が出たら,この場で報告したいと思います。

2017年4月19日水曜日

県別・年齢層別の過労死予備軍率

 新年度になりましたが,「働き方改革」の流れを受けて,企業も労働時間の短縮を考えざるを得ない状況に置かれています。

 その先陣をきっているのがヤマト運輸で,配達時間指定の見直し,ドライバーへの直通電話の縮小などを打ち出しています。従業員の過重労働緩和に向けた取組で,今後も大いに進めていただきたいと思います。

 2015年の暮れに,大手広告代理店・電通の若手社員が過労の末に自殺する悲劇が起きました。その引責で首脳陣が交代し,過労死防止の研修会などを催しているようですが,「形だけの改善は無意味,軍隊のような社風をなくして」と,遺族の思いは複雑なようです。
http://www.sankeibiz.jp/compliance/news/170412/cpb1704122330004-n1.htm

 このような悲劇は二度とあってはなりませんが,残念ながら,その予備軍はおそらくかなりの量にのぼるでしょう。2012年の『就業構造基本調査』のデータをもとに,%値を見積もってみましょう。

 この調査では,就業者の年間就業時間と週間就業時間を調査しています。マックスのカテゴリーは,前者が年間300日以上,後者が週75時間以上です。年間300日以上ってことは,月25日以上,週6日以上働いていることになります。1日あたりの労働時間は,75/6=12.5時間以上。

 1日の法定労働時間は8時間ですので,1日の残業時間は4.5時間超。週にすると27時間以上,月当たりでは108時間以上の残業ということになります。

 電通で過労自殺した社員の月当たりの残業時間(100時間超)に匹敵します。上記の統計資料にて,過労死予備軍の量を把握するには,「年間300日・週75時間以上」の就業者数を拾うのがよいでしょう。

 はて,電通レベルの過労死予備軍は,数でみてどれほどいるか。働き盛りの40代の男性正規職員(正社員)でいうと,これに該当する就業者は9万9400人で,年間200日以上の規則的就業をしている40代男性正社員全体(609万4700人)の1.63%に当たります。61人に1人です。

 量のイメージを持っていただくため,面積図を掲げましょう。


 法定の「ホワイト」な働き方をしている労働者(左下)もいる一方で,いつ命を落としてもおかしくないレベルで働かされている労働者もいる(右上)。ブラックの病巣が広がることがあってはなりません。

 ちなみに点線は,年間300日・週60時間以上の就業者です。実数は29万5200人で,全体に占める割合は4.8%となっています。参考までに,図示しておきました。

 以上は40代の男性正社員のデータですが,他の年齢層はどうでしょう。20代,30代,40代,50代という10歳刻みの年齢層別に,男性正社員の過労死予備軍率(K)を出してみましょう。

 なお最近の『就業構造基本調査』の公開データは充実していて,都道府県別の数値も出すことができます。県ごとに,年齢層別の過労死予備軍率を計算できるわけです。どの県のどの層がヤバいか? 言葉がよくないですが,病巣の分布を明らかにすることは,効果的な対策を行う上で意義あることでしょう。

 結果の一覧表をみていただきましょう。200日以上就業の男性正規職員の中で,年間300日・週75時間以上働いている者(過労死予備軍)が何%かです。2.0%以上は黒色,1.8%以上2.0%未満は灰色のマークをしています。


 どうでしょう。過労死予備軍率の高率ゾーンの分布ですが,黒色や灰色のマークが結構あることに気づきます。

 表をタテにみると,働き盛りの30代でブラックが多いですね。16の道府県において,過労死予備軍の比率が2.0%(50人に1人)を超えています。マックスは奈良の3.48%,29人に1人です。これは危ない。

 角度を変えて表をヨコにみると,ヤバい県がどこかが見えてきます。ブラックが2つ以上あるのは,北海道,山形,群馬,東京,三重,京都,奈良,徳島,高知,福岡,熊本,宮崎,となっています。北海道と熊本は,20~40代の3つのセルがブラックになっています。若者の就労環境の点検が必要でしょう。

 もっとも,これは5年前(2012年)のデータで,今年に実施される『就業構造基本調査』のデータではどうなっているか分かりません。ただ,こういう地域別・年齢層別のデータを出せることを紹介したいと考えました。

 限りある資源で有効な対策を行うには,要注意層の分布を明らかにし,そこに資源を傾斜配分することです。

 さて,冒頭で触れた電通の話に戻りますが,同社の新入社員の声に「仕事のキツさや上下関係の厳しさは分かっている。早く一人前になりたい」というのがありました。意気込みは結構ですが,異常な就労環境を受け入れることはあってはなりますまい。
http://www.sankeibiz.jp/business/news/170403/bsd1704031154010-n1.htm

 おかしいと思うことには,声を上げること。動くこと。自分や,自分を失ったら嘆き悲しむ家族を守るためです。今,学校教育で「生きる力」の育成が重視されていますが,自分の身を守る労働法規の教育は,高校や大学で必修にすべきではないかと感じます。文字通り,「生きる力」の中核の要素ではないですか。

 教育社会学にあっては,児童・生徒が,ブラック労働を厭わない方向に,いかにして仕向けられるか(社会化されるか)を解明することが求められるでしょう。私の仮説ですが,教員がブラック労働のモデルを提供してしまっているように思えます。教員の就業状況の改善は,未来の健全な労働者を育む上でも必要なことなのです。

2017年4月17日月曜日

職業別の高学歴率

 学歴が高いのはどの職業か?所得と並んで,これなどもそれぞれの職業の威信(prestige)を測る尺度となります。

 こういうデータは週刊誌でたまに見かけますが,就業者全体の大卒率などをとっていますので,各職業の年齢構成の影響が入ってしまっています。昔は大学進学率は低かったですから,高齢者が多い職業の大卒率は当然低くなると。

 ここではそうした弊を除くべく,若年の就業者に限定して,大卒以上の学歴の%値を比較してみます。25~34歳の就業者のうち,大学・大学院卒が何%いるかです。

 2012年の『就業構造基本調査』によると,最終学歴が分かる25~34歳の就業者は1183万人ほどです(10月の調査時点)。このうち,最終学歴が大卒ないしは大学院卒である者は474万人。よって,大卒・大学院卒比率はちょうど4割ということになります。

 今は大学進学率が5割を超えていますが,そのちょっと前の世代ですので,まあこんなところでしょう。

 では,職業別にみるとどうか。上記の資料の職業中分類統計を使って,68の職業について,同じ値を計算することができます。若い世代に限った,高学歴率の職業ランキングを見ていただきましょう。


 若年の就業者の高学歴率は,職業によってかなり違っています。トップの医師は99.5%,ほぼ全員です。これは当然ですよね。2位は経営・金融・保険の専門職,3位は研究者となっていて,これら3つは9割を超えます。

 8割を超えるのは,教員までです。幼稚園や小学校の教員には短大卒が結構いますので,大卒率は87%くらいになっています。

 表の青い点線のラインは,全職業の高学歴率(40.04%)の位置です。このラインより上にあるのは,平均水準に比して,高学歴化が進んでいる職業ということになります。人数的に多い一般事務やアーティストなども,そうなのですね。

 下のほうには労務系の職業がありますが,安定していて高収入の鉄道運転従事者の高学歴率が高くないのは,初めて知りました。上野に,電車の運転手を要請する専門の高校があると聞きますが,こういう学校の卒業者が多いのでしょう。実は私も中2の時,「鉄道系の高校に行く」と親に言って,驚かれたことがありますけど。

 職業の学歴差が出るのは,求められる知識や技能の水準に違いがあるためです。医師や教員は,免許を取るのに大卒学歴が必須。一番わかりやすい,機能主義理論による説明です。

 しかし,現実はそれだけでは説明できません。コリンズは名著『資格社会』において,「葛藤主義理論」を提唱しています。それぞれの職業集団が自らの威信を高めようと,機能的必要とは無関係に,参入者に高学歴を(競って)要求する。

 今の日本には,こちらのほうがよくフィットするでしょう。企業が高学歴者を好んで雇うのは,彼らの知識や技術に期待してのことではありません。「大卒なら間違いなかろう,覚えがよかろう」と踏んで,自社への入社資格として大卒学歴を求めているだけのこと。

 2012年の中教審答申で,今後は教員志望者には大学院修士の学位をつけさせようという案が出ましたが,これだって,子どもに教える知識内容の高度化といった,機能的必要から迫られたことではありません。今は保護者の多くが大卒なんで,箔をつけさせるべく,教員の学歴水準を一段高くしようと目論んでいるだけのこと。

 こんなしょーもない「見栄」で競い合って,どの職業の要求学歴水準も,機能的必要とは無関係に高くなっていく。その結果,一人前のハードルが無意味に引き上げられ,保護者にすれば長期の教育費負担を強いられ,少子化が進行する。こういう病理が潜んでいることも,見抜かないといけません。

 ちなみに日本は,「自分の学歴は,今の仕事に求められる学歴よりも高い」と考える労働者の割合が,世界で最も高いそうです(OECD「PIAAC 2012」)。

 採用する側は,学歴という安易なフィルター(シグナル)に依存しすぎるのは慎むべきでしょう。

2017年4月14日金曜日

男性のWLBと出生率の相関

 WLBとは,「ワーク・ライフ・バランス」の略称です。和訳すると「仕事と生活の調和」で,今やこのフレーズを知らない人はいないでしょう。

 この理念がどれほど具現されているかは社会によって違っていますが,この尺度の上に諸国を並べた場合,おそらくは日本は低い位置に来るでしょう。

 WLBの具現度の指標(measure)としてはいろいろ考案されていますが,ISSPの『家族と性役割の変化に関する調査』(2012年)の個票データを使って,独自に指標を作ってみました。25~54歳の男性有業者のうち,家事・家族ケア時間が仕事時間より長い人の割合です。

 生産年齢の有業オトコで,こんな人は滅多にいないとは思いますが,%を出すとどれほどでしょう。上記の調査では,週当たりの①家事時間,②家族ケア時間,③仕事時間を尋ねています。日本の25~54歳の有業男性で,この3つの全てに有効回答を寄せているのは218人です。

 この218人のうち,家事・家族ケア時間(①+②)が仕事時間(③)より長い人は5人で,比率にすると2.3%しかいません。43人に1人,予想はしていましたが少ないですねえ。

 しかしこれは日本のデータであり,国ごとに同じ指標を出すと,値にはバリエーションがあります。下図は,調査対象の38か国を高い順に並べたランキングです。


 働き盛りのオトコで,仕事よりも家事・家族ケアをやっている人なんてわずかしかいない。これが日本の状況(常識)ですけど,世界を見渡せば,%値が高い社会もあるじゃありませんか。

 インド,フィリピン,ベネズエラでは3割です。これらの国では男性は怠け者で,女性がバリバリ働くという話をよく聞きますが,家事・家族ケア時間と仕事時間の対比から出されるWLB指標が高いのは事実です。

 欧米の主要国も日本よりは高し。その日本はといえば,38か国の中で見事に最下位となっています。ぐうの音も出ませんが,自国の常識が世界で普遍的であるなどと思ってはいけません。

 実はこの指標は,それぞれの国の出生率と相関しています。総務省統計局の『世界の統計 2017』という資料から,2013年近辺の合計特殊出生率を採取し,上記の%値と絡めてみました。両方の数値が分かる,28か国の相関図です。


 仕事より家事・育児をする男性が多い国ほど,出生率が高い傾向にあります。相関係数は+0.6226で,1%水準で有意です。

 これが因果関係を意味するとは限りませんが,夫が家事をする夫婦ほど,第2子以降の出生率が高い,という調査レポートはよく目にします。女性の負担が小さくなるわけですから,男性(夫)のWLBと出生率アップの関連は想像に難くありません。

 上記の図は,そのマクロ的な表現とみてもいいかもしません。

 現実問題として,男性の家事・家族ケア時間と仕事時間を逆転させるのは不可能でしょうけど,両者の比重を改善する余地はあるでしょう。夫と妻の家事・家族ケアの分担率も然り。前に,ニューズウィーク記事で報告しましたが,日本の男性の分担率は世界で最下位です。
http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2016/03/post-4607.php

 こういう状況を改善するのは,社会の維持・存続に関わる至上命令ともいえるステージに達しています。労働時間の短縮には,生活の便利性のレベルが下がること(24時間営業の縮小……)が伴いますが,そんな副作用を気にしている場合ではありません。いい加減,便利になりすぎた生活を見直す段階に,わが国は来ているのです。

2017年4月10日月曜日

東京都内23区の死亡率

 人は年老いたら死にますが,同じ年齢層であっても,「死」の確率が社会的属性によって異なることは知られています。これを総称して「いのちの格差」などと言ったりします。

 この点に関するデータとしては,平均寿命の社会階層差・地域差などがありますが,死亡率という単純な指標によっても可視化できます。

 東京都の『人口動態統計』(2015年)を眺めていたら,都内23区別に同年中の死亡者数が計上されています。これを,2015年の『国勢調査』から分かる,同年10月時点の人口で除して,死亡率にしてみました。

 下表が数値の一覧です。分子の死亡者数は日本人のものなので,分母の人口も同じく日本人の数値を使っています。繰り返しますが,分母の人口は2015年10月時点,分子の死亡者数は2015年中の数値です。


 同じ大都市でも,死亡率は区によってかなり違いますね。最低の中央区では64.5ですが,マックスの北区では109.3にもなります。100を超える区は,台東区,北区,荒川区,そして足立区です。

 うーん。まあ高齢者が多い区では死亡率が高くなるのは当然ですが,死亡率が高い区の顔ぶれをみると,住民の年齢構成の影響だけではないような気がします。

 東京都全体の年齢層別の死亡率と,各区の住民の年齢構成から,23区の死亡率の期待値を出し,上記の死亡率と照らし合わせてみましょう。都全体の年齢層別の死亡率は,以下のようになっています。先ほどと同じく,ベース1万人あたりの死亡者数です。


 当然ですが,年齢が上がるにつれ,死亡率はぐんぐん高くなってきます。80歳以上の死亡率は7.65%,13人に1人です。

 上表の年齢層別の死亡率を,各区の住民の年齢構成比で重みづけして,23区の死亡率の期待値を計算してみます。たとえば足立区の日本人人口の年齢構成比は,0~5歳が4.0%,5~9歳が4.0%,……75~79歳が5.4%,80歳以上が6.8%,となっています(『国勢調査』,2015年10月時点)。

 よって,住民の年齢構成から期待される足立区の死亡率は,以下のようにして算出されます。

{(5.0×4.0)+(0.9×4.0)+……+(245.2×5.4)+(765.4×6.8)}/100.0 = 92.8

 年齢構成から期待される足立区の2015年の死亡率は92.8ですが,実際の死亡率は最初の表にあるように103.8です。この区では,住民の年齢構成から期待される水準よりも,実際の死亡率はかなり高くなっています。

 では,他の区はどうでしょう。同じやり方で死亡率の期待値を出し,最初の表でみた実測値と照合しています。


 どうでしょう。足立区と同じく実測値が期待値を上回る区は12で,その逆は11となっています。ちょうど半々ですね。

 世田谷区は足立区と真逆で,実際の死亡率は,年齢構成から期待される死亡率よりもかなり低くなっています。

 実際の死亡率が期待値よりも高いということは,年齢以外のファクターによる死亡が多い,ということです。考えられる大きな要因として,貧困があるでしょう。貧困層は医者にかかれない,健康への関心が低い。こうした事情から,高齢者でなくても生活習慣病などで命を落としやすい……。あり得ることです。

 事実,死亡率の残差(=実測値-期待値)は,各区の平均世帯年収とプラスの相関関係にあります。下図は,横軸に平均世帯年収,縦軸に死亡率の残差をとった座標上に,23の区を配置した相関図です。平均世帯年収は,総務省『住宅土地統計』(2013年)から独自に計算しました。
http://tmaita77.blogspot.jp/2015/03/2013.html


 ご覧のように,平均年収が低い区では,死亡率の残差が大きくなっています。先ほど述べたように,年齢以外の要因の死亡率が相対的に高い,ということです。住民の経済力とリンクしていることから,貧困が大きな影を落としているとみてよいでしょう。

 都内23区の死亡率からうかがわれる,厳として存在する「いのちの格差」。貧困に由来する生活習慣病の死亡などが想起されますが,もしかすると,若者の展望不良による自殺率の違いも,その中に含まれるかもしれません。

 はて,死亡率全体ではなく自殺率の残差分析をしても,同じような結果がみられるか。経済力とのリンクがみられるか。興味ある分析課題です。

 ともあれ今回の結果から分かるのは,不利益の地域的集積の傾向であり,住民に対する保健指導の徹底などが求められるところです。健康に無関心な地域のクライメイトは,子ども世代の健康を害することにもつながっているように思えます(健康格差)。
http://tmaita77.blogspot.jp/2015/03/blog-post_12.html

 こうした負の連鎖を断ち切るに際して,学校が大きな役割を果たすべきであるのは言うまでもありません。

2017年4月7日金曜日

アラフィフ婚の増加

 アラサー,アラフォーに次いで「アラフィフ」というステージへの関心も高まってきました。around fifty,50歳近辺という意味です。

 現在40歳の私より一回り上の年齢層ですが,人数的に多い「団塊ジュニア」の世代が,間もなくこのステージに達しようとしています。「アラフィフ」という片仮名をメディアで目にする頻度も高くなってくることでしょう。

 先日,この言葉をタイトルに掲げた記事を目にしました。アラフィフの結婚が増えている,というものです。記事では,40代後半から50代女性の初婚数が増えていることを示すグラフが紹介されています。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170402-00005923-bengocom-life

 私はこういう記事に接すると,自分でデータソースに当たり,より詳しいデータを作ってみたくなります。厚労省の『人口動態統計』の時系列統計をもとに,45~54歳(アラフィフ)男女の初婚件数がどう推移してきかたを,5年間隔の折れ線グラフにしてみました。各年に結婚を届け出た夫と妻の数です(初婚に限る)。

 グラフは,下記リンク先の表9-7(1)のデータから作図しました。
http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/List.do?lid=000001157966


 ほう。確かに増えていますね。とりわけ,90年代以降の男性の増加が凄まじい。45~54歳男性の初婚届出件数は,1990年では2,848件でしたが,四半世紀を経た2015年現在では11,746件に膨れ上がっています。4.1倍の増です。

 これは,団塊(ジュニア)のような量的に多い世代がこのステージに達したからという,人口的な要因によるものではありません。ベース人口の変動とは無関係に,結婚するアラフィフが増えている,ということです。

 伸び幅は,女性より男性のほうがずっと大きくなっています。これだけ男女差があるってことは,自分よりかなり下の(若い)女性と結婚するアラフィフ男性が増えている,ということでしょうか。

 このグラフをツイッターで発信したところ,面白い解釈をしてくれた方がいます。スクショで,該当ツイートを紹介させていただきましょう。
https://twitter.com/CH0BBY/status/849862995932889088


 なるほど。農家の男性が跡継ぎ確保のため,外国人の若い奥さんをもらう,という構図ですか。確かに,こういう話はよく聞くところです。

 しからば,アラフィフの初婚の増加は,都市よりも地方で顕著と思われますが,実態はどうなのでしょう。先ほどのグラフは全国のものですが,都道府県別に変化を出すこともできます。

 私は『人口動態統計』の内部保管統計に当たって,1995年から2015年の20年にかけて,45~54歳男性の初婚件数がどう変わったかを,47都道府県別に明らかにしました。

 全国値でいうと,1995年の5,820件から2015年の11,746件へと,2.02倍の増加です。しかるに,この倍率は県によって結構違っています。下表をご覧ください。


 増加倍率が高い県がありますねえ。マックスは鳥取で,この20年間でアラフィフ男性の初婚数が4.75倍に増えています。その次が長崎の3.57倍,それに次ぐのが岩手の3.49倍……。

 赤字は2.5倍超,黄色マークは3.0倍超ですが,ほとんどが地方県ですね。地図にはしませんけど,北東北,北陸・中部,北九州で,アラフィフ男性の初婚の増加が顕著である傾向が見えてきます。

 上記のツイッターで言われているような,国際婚の増加の影響がなきにしもあらずです。ブローカーの暗躍というのは,話が穏やかではありませんが。

 ちなみに,最初に紹介した記事において,地方では親や親戚からの「結婚しろ攻撃」がハンパでないことが言われています。私にも,よく分かります。それが嫌で,すっかり帰省から遠のいていますから。

 山内太地さんが「地方都市では中学時代のスクール・カーストが一生続く」という,面白い見解を表明しておられますが,都会への転出者のUターンが進まないことの原因は,こういう所にもあるかもしれません。

 これに乗っかっていうと,「結婚しろ,お見合いしろ」攻撃も,Uターンを妨げている面があるような気がするなあ。時代は変わっています。上の世代は,自分たちの価値観を子ども世代に押し付けることは慎むべきでしょう。それが,異世代の共存につながります。

 地方におけるアラフィフ婚の増加。その原因として,1)国際婚の増加,2)未だにある「結婚しろ攻撃」,の2点があることがうかがわれます。後者を突き詰めたら,地方における家族葛藤いう問題が出てくるかもしれません。

2017年4月4日火曜日

子ども・若者1人あたりの公的教育費

 日本は経済大国ですが,教育にカネを使わない国であることは,もうすっかり知れ渡っています。その証拠として出されるのが,公的教育費の支出額がGDPの何%か,という指標です。

 OECDの「Education at a Glance 2016」にて,最新の2013年の数値を拾うと,日本はわずか3.25%で,OECD加盟国では下から2番目となっています。
https://twitter.com/tmaita77/status/848342449005117441

 しかし,対GDP比でみるのは不適切ではないか,日本は少子化が進んで子どもが少ないのだから,教育費のシェアが小さくなるのは当たり前ではないか,という意見も聞かれます。

 これに対しては,「教育の対象は子どもだけではない。生涯学習社会では,教育の対象は大人も含めた全国民である」という反論ができますが,それは脇に置きましょう。

 それでは,GDPに対する割合ではなく,子ども・若者1人あたりの公的教育費の額を算出してみましょう。上記の比率を,国内総生産(名目GDP総額)に乗じると,公的教育費の実額が出てきます。それを,25歳未満の子ども・若者人口で除せば,目的の数値が得られます。

 先ほどみたように,2013年の日本の公的教育費支出額の対GDPは3.25%です。総務省統計局『世界の統計 2015』によると,同年の名目GDPは4,920,680(百万ドル)。よって公的教育費の支出額は,前者を後者に乗じて,159,779(百万ドル)となります。

 国連の人口推計サイトによると,2013年の日本の25歳未満人口は28,891(千人)。したがって,子ども・若者1人あたりの公的教育費支出額は,5,530ドルとなる次第です。1ドル=110円とすると,1人あたり60万円くらいですか。

 はて,これは他国に比してどうなのか。同じやり方で,29か国の数値を計算してみました。計算に使った要素も含む,結果の一覧表をご覧いただきましょう。


 右端が目的の数値ですが,日本よりも高い値が多いですねえ。マックスは北欧のノルウェーで,1人あたり20,230ドル(222万円)日本の4倍近くです。デンマーク,スウェーデン,スイスも5ケタです。大学の授業料無償,充実したICT教育環境などは,こういう条件によるのですね。

 欧米の先進国をみると,アメリカが6,722ドル,イギリスが7,070ドル,ドイツが7,256ドル,フランスが6,854ドルと,いずれも日本よりは高くなっています。

 お隣の韓国をはじめ,日本より低い国もちらほらありますが,先進国の中では最下位で,29か国全体では19位という有様。子どもが少ないという点を考慮しても,日本が教育にカネを使わない国ということは言えるでしょう。

 これは,初等教育から高等教育までを含めた全教育費の結果ですが,高等教育に限ったら,悲惨な結果が出てきそうですねえ。日本は大学進学率50%超で,高等教育を受けている人口が多いのですが,公的な高等教育費支出の対GDPは最下位です。
https://twitter.com/tmaita77/status/848783584722731008

 「学費メチャ高」&「実質ローン奨学金」という,ダブルパンチになるはずです。日本のユニバーサル型の高等教育は,家計に費用負担を押し付けることで成り立っていることを忘れてはいけません。

 高等教育機関の学生1人あたりの額を出したら,どういう結果が出てくるか。やりたくもない計算ですが,興味ある結果が出てきたら,ここで報告することにいたしましょう。

2017年4月1日土曜日

プレジデント社について

 新年度早々,こんな愚痴めいた記事を書きたくはないのですが,思う所があって書かせていただきます。

 私は現在,4つのメディアで連載を持っています。開始の時期の順でいうと,日本教育新聞,日経デュアル,ニューズウィーク,プレジデント・オンラインです。

 私のツイッターをご覧の方はご存知でしょうが,最後のプレジデント社には,嫌な思いをさせられ続けています。担当編集者が「だらしない」人なのです。

 原稿受領の返事をしない,約束の時期までにテストページ(紙でいう校閲用のゲラ)を送ってこない,校正で指摘した修正事項が本原稿に反映されていない・・・。
 
 まあ文筆家なら,編集者のこういう落ち度に遭遇することはあるでしょうが,1度や2度ではありません。

 去年の11月の初頭に,テストページが出るのが2回連続で遅れた時は,もう堪忍袋の緒が切れました(私は原稿締め切りを守ってますので)。1回目の理由は「ボケていた」からで,2回目の理由は重病とのことです。2回目にしても,真偽は定かではないです。なにせ,私の怒りのメールに即リプがきましたからねえ。

 私は怒り心頭で「連載を中止する」と通告しましたが,「どうかご継続を。最後のチャンスを」を懇願され,上司の人にも注意したうえで,ひとまず判断を保留としました。

 さすがに少しは反省したのか,それ以降,幾分かはちゃんとしてきました。しかし,上記のようなポチミスがたまに起きているのは相変わらずです。

 プレジデントといえば,誰もが知っている大出版社ですが,ネットニュースの編集作業は結構いい加減なんだな,という印象です。私は,この会社の紙の雑誌にも原稿を書いたことがありますが,その時の編集作業はびっくりするくらい慎重なものでした。紙とネットの温度差に驚いています。ネットはいつでも修正可能なので,手を抜いてもいい,という考えなのでしょうか。

 それと「釣りタイトル」です。去年の11月16日に,「18歳人口を奪い合う大学は見苦しい」という記事を寄稿しましたが,当初,この編集者が勝手に「東大よ,お前もか」という枕詞を添え,東大が女子学生の家賃補助に踏み切ったことを揶揄するリード文まで書いていました。私の同意を得ずにです。

 この件については,知り合いの先生から指摘されて初めて気づきました。私がチェックしたテストページ(ゲラ)には,こういう記載がありませんでしたから。その先生は,私が教育の機会均等について博士論文を書いたのを知っているので,「お前も落ちたものだな」とお叱りを受けました。つまり私は,この編集者に恥をかかされたわけです。

 私はこやつに電話をさせ,強く怒りましたが,「とにかくPVを稼がないと生き残れない,とにかくタップしてほしい」という言い訳ばかり。もう,開いた口がふさがりません。そのためなら,筆者の意向を無視してもいい,ということなのでしょうか。読者を欺いてもいいのでしょうか。

 まあ,「売れよかし」というタイトルをつけたいというのは,どの出版社も同じでしょう。しかし,私が連載している4つのメディアの中で,こういうことをするのはプレジデントだけなんですよねえ。よかったら,右側の連載一覧のページで,4つのメディアの記事タイトルを比較してみてください。

 私は正直,「この会社と付き合っていると心の平穏が乱れる,研究者としての自分の評価にも関わる」という危機感を抱き,いつ連載を止めようかと思案していました。プレジデントといえば,ビジネスマン向けの金儲けの雑誌を作る会社で,土台,私とは反りが合わないですから。

 そんな矢先,一昨日から昨日にかけてまたトラブルが起きました。もううんざりですので,それについては書かないことにしましょう。私は今朝,以下のメールを編集者に発信しました。以下に掲げます。

**********
O様

当面の間,連載は休止とします。
中止ではありません。

また始めてもいいと思った時,こちらから連絡します。

再開の折は,担当編集者の交代を求めます。

私が望むタイプは,優秀でなくてもいいから,真面目で約束をちゃんと守り,仕事が丁寧でこちらに安心感を与えてくれる人です。

後任の人について,相談しておいてください。
**********

 というわけで,当面の間,プレジデント・オンラインの連載はお休みとなります。今,単著原稿の追い込みで混んでいますので,私としても好都合です。

 まあ,こんな記事を世に発信しているのですから,先方の判断で「打ち切り」ということになるかもしれませんが,それならそれで結構です。細切れの売文仕事は減らして,腰を据えて,大きな仕事をしたいと思っていたところですし。

 曇天の新年度初日ですが,楽しい春休みを。近くの「ソレイユの丘」は,子どもたちでいっぱいです。

2017年3月31日金曜日

2017年3月の教員不祥事報道

 2016年度も今日でおわりです。今月,私がネット上でキャッチした教員不祥事報道は48件です。年度末のためか,多めになっています。

 赤字は珍事案。新幹線の無賃乗車,議論にヒートアップして知人をジョッキで殴る,校長の式辞コピペ。こういうのも,あるんですねえ。

 さて私は,今月の初頭に,東京都多摩市から神奈川県横須賀市に引っ越しました。横須賀といっても,北西の横須賀中央ではなく,対極の南西の長井地区です。見渡す限り畑の「のどか」な地域ですが,ちょっと自転車で走ると海に出れます。


 この写真は,荒崎公園の「夕日の丘」から撮ったものです。自宅から自転車で15分ほど。天気のいい日は,夕方,いつもここに来ます。

 あと一つの近場の名所は,ソレイユの丘。三浦半島屈指のレジャー施設ですが,ここは自転車で7分くらい。歩いても行けます。夕日を見ながら入れる,ここのお風呂は最高です。銭湯代わりに,週1で来ることにしました。


 今は,菜の花もきれいです。

 いやあ,本当にいいところに越してきたなと思います。去年の秋から,三浦半島に何度も足を運び,慎重に居住地を選んだ甲斐がありました。

 この素晴らしい地で,これからはモノを書いて暮らしていきたいと思います。

<2017年3月の教員不祥事報道>
自転車通勤で交通費請求、事故で発覚 小学校教諭を戒告処分
 (3/1,自転車新聞,東京,小,男,34)
児童ポルノ製造容疑 福島の講師を逮捕(3/2,河北新報,福島,高,男,25)
県立高教諭 万引疑い 静岡中央署が逮捕(3/2,静岡新聞,静岡,高,女,45)
酒気帯び運転の疑いで教員の男を逮捕 宇都宮中央署
 (3/2,下野新聞,栃木,男,62)
酒気帯び運転疑い逮捕の教諭処分(3/3,NHK,青森,中,男,50)
勤務先の職員室から21万円盗んだ疑い(3/6,朝日,大阪,中,女,57)
小学校講師、覚醒剤使用の疑い(3/6,朝日,大阪,小,男,27)
野球部員の下着脱がせマッサージ 中学講師を停職
 (3/8,朝日,岐阜,中,男,30)
男児ポルノ所持、45歳小学校教諭を免職(3/9,産経,東京,小,男,45)
酒気帯び運転で中学校教諭逮捕 (3/11,MBC,鹿児島,中,男)
小学校長が住宅侵入疑いで懲戒処分、長崎県教委(3/11,産経,長崎,小,男,51)
中学生に淫行疑い 48歳広島県立高教諭を逮捕(3/14,産経,広島,高,男,48)
男性はねられ重体 中学の男性教諭逮捕(3/15,千葉日報,千葉,中,男,31)
児童を菌呼ばわりの教員 減給処分(3/15,新潟日報,新潟,小,男,40代)
コンビニでサンドイッチ万引 車にひかれて発覚(3/16,産経,東京,小,男,54)
卒業生にキス、部活指導の女子生徒の体を繰り返し触る
 (3/17,産経,東京,わいせつ:小男25,体罰:中男30)
男性教諭を停職処分 焼酎を窃盗か(3/17,テレビ神奈川,神奈川,中,男,50代)
<強制わいせつ>女児被害、60歳小学教諭逮捕(3/19,毎日,東京,小,男,60)
小学校長、校内駐車代2年半未納(3/20,読売,島根,小,女)
私立高校教諭をひき逃げで逮捕(3/21,NHK,青森,高,男,33)
部費など着服、セクハラ…2教諭処分
 (3/22,神戸新聞,兵庫,セクハラ:中男40代,着服:高男33)
電車で痴漢行為 市立小教諭を停職処分
 (3/22,テレビ神奈川,神奈川,中,男,449
淫行容疑で39歳小学校教諭逮捕(3/22,産経,北海道,小,男,39)
盗撮と体罰で教諭2人を処分
 (3/22,岩手日報,岩手,盗撮:特男40代,体罰:小男45)
59歳教諭が女子生徒にキス…高校教諭3人懲戒処分 
 (3/23,日刊スポーツ,埼玉,キス:高男59,酒気帯び運転:高男24,トイレに行かせず:高男52)
小学校教諭、体罰で処分へ…蹴られた男児は転校
 (3/23,読売,山形,小,男,40代)
懲戒処分:小学校講師ら2人 県教委
 (3/23,毎日,鹿児島,下着窃盗:小男40,飲酒運転:中男50)
校内で女子生徒にキス…裸の画像送らせる 中学教諭と講師を懲戒免職
 (3/23,サンスポ,京都,中男20代,30代)
三重県立明野高校の教諭、盗撮で懲戒免職(3/24,CBCテレビ,三重,高,男,53)
女子生徒にセクハラで停職6月 山梨の県立高男性教諭
 (3/25,産経,山梨,高,男,30代)
酒気帯び疑いで教諭逮捕 直前に信号無視で追突(3/25,産経,千葉,特,男,35)
14歳の少女に「脱げよ」と脅し強姦未遂(3/25,サンスポ,愛知,高,男,27)
指宿商業高校で男性教諭が生徒に体罰(3/26,MBC,鹿児島,高,男,30代)
大阪の公立中学講師、女子生徒に淫行疑い(3/27,産経,大阪,中,男,20代)
同僚女性の服に手を入れ胸触る…教諭を停職3カ月
 (3/28,サンスポ,大阪,高,男,62)
セクハラ:中学教諭が同僚女性に(3/28,毎日,山形,中,男,50代)
新幹線無賃乗車で高校教諭処分(3/29,NHK,愛知,高,男,26)
県教委:飲酒運転教諭を懲戒免職処分(3/29,毎日,宮崎,中,男,35)
懲戒免職:高校講師、同僚の現金窃盗 県教委(3/29,毎日,新潟,高,男,25)
バレー強豪校の数学教諭 女子高生と性行為(3/30,日テレ,東京,高,男,27)
体罰めぐり口論、ビールジョッキで知人殴った教頭を滋賀県教委が処分
 (3/30,産経,滋賀,小,男,50)
懲戒免職:淫行の中学講師を処分 福岡市教委(3/30,毎日,福岡,中,男,28)
女児の服脱がせ動画=容疑で担任教諭逮捕(3/31,時事通信,東京,小,男,29)
高校教師がつきまとい容疑で逮捕(3/31,チバテレ,千葉,高,男,30)
戒告処分:葛城の中学校教諭ら 成績記載ミス(3/31,毎日,奈良,中男59,59)
伊那小教諭を懲戒免職処分 準強姦・侵入罪(3/31,中日新聞,長野,小,男,38)
卒業生に贈る言葉は「コピペ」で…中学校長「忙しかった」
 (3/31,産経,兵庫,中,男,60)
禁煙の学校敷地内で、校長らが2年にわたり喫煙
 (3/31,神奈川新聞,神奈川,高,男,60)

2017年3月27日月曜日

正社員就職率の段階比較

 職業別の求人倍率をみると,建設業,介護サービス,飲食業などの数値がべらぼうに高くなっています。一般事務などはメチャ低。希望者が多く,口が少ないため。お呼びでありません。

 社会が求めるのはグレー・ブルーカラー,学校教育で量産されるのはホワイトカラー志望者。こんな状況になっているといえましょう。

 それはさておき,こうした社会の人材需要の様は,学校卒業者の進路統計に表れています。高校よりも大学のほうが正社員就職率がいいと思われるかもしれませんが,さにあらず。高校の中でも専門高校,とりわけ工業高校などはがんばっています。

 『学校基本調査』によると,2016年春の工業高校卒業生(全日制・定時制)は8万593人。この卒業者を進学者と非進学者に分け,その下の成分を面積図で表すと以下のようになります。
http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/NewList.do?tid=000001011528


 就職の意思のない進学者を除いた「非進学者」ベースで,正規職員として就職した生徒の比率を出すと96.1%にもなります。ほぼ全員です。建設業界の技術者や労働者への需要が著しく増しているためでしょう。

 これは工業高校のケースですが,他の専門学科も健闘しているようです。高校の学科別の正社員就職率をみていただきましょう。上記と同じく,非進学者ベースの数値です。短大,高専,大学,大学院といった高等教育機関との比較もしましょう。


 細かい学科(専攻)別の数値を出しました。90%を超える数値は赤色にしましたが,高校で多いではないですか。高校では5つ,短大では2つ,大学と大学院修士課程で1つです。

 マックスは高等専門学校(高専)の96.7%,さすがですね。5年制の高等教育機関ですが,産業界からの評価がきわめて良好であることがよく知られています。

 それに次ぐのが高校工業科で96.1%,その次が水産科の95.9%なり。農業科と福祉科もがんばっている。社会の人材需要の色が出ているといえましょう。

 大学院は,上に行くほど正規職員就職率が下がりますけど,これについてはノーコメントとしておきましょう。

 ただ社会に送り出される人材の量の上では,現在では大学学部の卒業者が最も多くなっています。それもそのはず。大学進学率が50%,つまり同世代の2人に1人が大学に行く時代ですので。

 そこで,この段階の正社員就職率を,もうちょっと仔細に解剖してみましょう。上表は専攻別ですが,これをさらに設置主体別にバラしてみます。国立・公立・私立の別です。以下の表は,「設置主体×専攻」でみた正社員就職率の一覧表です。上記と同じく,2016年春の卒業生のデータです。


 ほう。どの専攻でも公立大学の数値が最も高いですね。90%超の赤字も多くなっています。地域密着の公立大学は強いのでしょうか。量的に多い社会科学系の正社員就職率は,公立,国立,私立の順になっています。

 教育の役割は,社会が求める人材を輩出することです。教育を社会に従属させろなどとはいいませんが,現実として,社会の人材需要の色が卒業生の進路に反映されています。

 「悪さをしないで,社会の中での役割(仕事)をきっちりする人間になってほしい」。こういう思いで子育てをしている親御さんが多いでしょうが,無目的にわが子を上の学校に行かせても,あまりいいことはないように思います。

 成人年齢を20歳から18歳に引き下げる法改正が議論されていますが。18歳というステージでの自立をもっと促してもよいでしょう。「無職博士を雇ったら500万円」とかいう政策がありましたが,高卒者を採ったら奨励金なんていうのがいいのでは。

 社会の側がなすべきは,早い段階で社会に出た人間が,必要を感じた時に後から大学等の高等教育機関で学べるようにする制度を作ることです。未来形の大学の顧客は,やせ細っていく18歳人口ではなく,リカレント学生なのです。

2017年3月25日土曜日

20代の動機別自殺者数の変化

 景気回復の恩恵もあってか,ここ数年で,若者の自殺者数は減少をみています。警察庁の『自殺の概要資料』によると,2007年の20代の自殺者(a)は3309人でしたが,2016年では2235人にまで減っています。
https://www.npa.go.jp/publications/statistics/safetylife/jisatsu.html

 少子化の影響もあり,20代人口(b)もこの期間で1503万人から1269万人に減っていますが,自殺者数を人口で除した自殺率(b/a)も,22.0から17.6に下がっています(ベース10万人あたりの自殺者数)。

 「めでたし,めでたし」と言いたいところですが,動機別の自殺者数の変化を観察すると,近年の社会変化の影の面が見えてきます。

 警察庁の『自殺の概要資料』では,2007年より細かいカテゴリーを設けて,動機別の自殺者数を計上しています。一人の自殺者の動機が複数にわたる場合は,3つまで計上する方式です。よって数値は延べ数ということになりますが,ある動機(原因)で自ら命を断った若者の実数を知ることは可能です。

 データが得られる最も古い年次の2007年と,最新の2016年の統計を照らし合わせてみると,下表のようになります。


 最も多いのは,両年次とも「うつ病」です。次いで統合失調症,その他精神疾患といったメンタル要因が多くなっています。

 しかしここで注目したいのは,この10年間における変化です。2016年の自殺者数が50人以上で,2007年に比して自殺者が増えた項目に黄色マークをしました。マークがついているのは,親子関係の不和,就職失敗生活苦仕事の失敗,仕事疲れ,そして学業不振です。

 親子関係の不和は,進路選択などで親子間でもめる頻度が増えているのでしょうか。今の世代は時代の変化を見取り,大会社に入っても安泰でないことを知っており,いろいろな道に行こうとしますが,親からすればそれは許せない。いつの時代でもこういう世代葛藤は起きますが,激変期の現在では,それが殊に顕著なのかもしれません。

 前にニューズウィーク日本版に書きましたけど,親世代は,自分たちがたどってきた道を,子ども世代が子羊のようについてくる(これる)などと考えないほうがいいです。
http://www.newsweekjapan.jp/stories/business/2015/11/post-4092.php

 人手不足で就職市場が売り手市場になりますが,「シューカツ失敗自殺」も増えていますね。2010年頃に比したら数は減っていますが,お祈りメールを何十通も受け取り,自我を傷つけられ,将来展望に大きな不安を頂いた青年が自殺に傾きやすくなるのは道理です。私が試算したところによると,シューカツに失敗した学生の自殺率は国民全体の8倍を超えます。
http://tmaita77.blogspot.jp/2013/04/blog-post.html

 何度もいいますが,22歳で全てが決まる新卒至上主義などは,まずもって撤廃すべきでしょう。労働力不足が深刻化するなか,このシステムがいつまでも維持されるとは思いませんけれど。

 生活苦の自殺も増えています。仕事疲れの自殺も増加。どの業界も人手不足ですが,そのシワ寄せは若手にいくのが常です。2015年暮れに起きた,電通の若手女性社員の過労自殺が想起されます。

 「仕事の失敗」による自殺者は増加倍率が最も大きく,45人から78人へと1.73倍に増えています。今はどの職場も手取り足取り若手を育てるゆとりがなく,新人の失敗への寛容度が下がっているのでしょうか。

 学業不振の自殺も増えていますが,学生を締め付ける「大学の中高化」施策の影響かしらん。

 若者の自殺数,自殺率は低下の傾向にありますが,細かい動機別の統計を紐解いてみると問題がざくざく出てきます。数の上では小数ですが,黄色マークの数値は,近年のわが国の社会変化の影の側面を照らし出しているともいえるでしょう。

2017年3月24日金曜日

なぜ二次元のグラフにするか

 先日,「宿題をするのにコンピュータをどれほど使うか」という問いに対する回答の国際比較グラフをツイッターで発信したところ,多くの方に興味を持っていただきました。

 横軸に「全く or ほとんど使わない」,縦軸に「ほぼ毎日 or 毎日使う」の回答比率をとった座標上に,世界各国を配置した二次元のグラフです。
https://twitter.com/tmaita77/status/844103078437502977

 日本は圧倒的に前者が多く後者がほぼ皆無なので,右下の外れた位置にあります。日本の学校教育のICT化の遅れはよく言われますが,それが怖いくらいに可視化されているので,「おお」と思われた方が多かったのでしょう。

 一方,疑問も呈されました。「なぜ二次元の散布図にするのか。普通は棒グラフだろう」と。なるほど,もっともな疑問ですが,何でもかんでもオーソドックスな棒グラフにすればいいってものでもありません。2つの変数をグラフにするにあたっては,横軸と縦軸を使った二次元の平面上にデータを配置するのも一つの手です。

 題材を変えて,具体的な例を紹介しましょう。ISSPが2012年に実施した「家族と性役割の革新に関する調査」では,「学校に上がる前の幼子の世話は,最初に誰が見るべきと考えるか」という設問を設けています(Q12)。
http://www.issp.org/page.php?pageId=4

 5つに選択肢から1つを選んでもらう形式です。以下に掲げるのは,調査対象の38か国の回答分布です。*ドイツは調査対象が東西で分かれています。


 「家族」という回答割合の高い国が多くなっています。日本もこのタイプで,調査対象の国民の76.5%が「家族」と答えています。

 しかしこれとは異なるタイプもあり,スウェーデンでは82.5%が「政府機関」と回答しています。この国では,保育所入所を希望する家族に定員枠を用意するのは自治体の法的な義務で,日本でいう「待機児童」は存在しないそうです。毎年,全国各地で保育所落選の悲鳴が上がる日本とは大違いです。

 公的保育の考え方が,国民の意識にもはっきり表れています。フィンランド,デンマークといった他の北欧国でもそうです。

 38か国の回答をみるに,「家族」ないしは「政府機関」という回答(赤字)が大半を占めるようですが,この2つの回答比率をグラフにする場合,どうしたものでしょう。多くの人が推奨する「棒グラフ」にすると,以下のようになります。


 青色のバーが「家族」,オレンジ色のバーが「政府機関」の回答比率ですが,グチャグチャで傾向が分かりにくいです。せいぜい5か国くらいまでならこういうグラフでもいいでしょうが,38か国ものケースになるとNGです。

 私は,こういう大量ケースの2変数をグラフにするときは,横軸と縦軸を駆使した2次元のマトリクス上に,それぞれのケースを配置することにしています。

 上記の見映えの悪いグラフを,この形式に変えてみましょう。横軸に家族,縦軸に政府機関という回答比率をとった座標上に,38か国を配置します。


 どうでしょう。横軸の値が高く縦軸の値が低い「家族型保育」の社会と,その反対の「社会型保育」の社会が見出されます。斜線は均等線で,この線より上にある場合,横軸より縦軸の値が高いことを意味します。

 38か国すべての国名を書き込むことはできませんが,自分の国の位置を知りたい,2つの変数による社会のタイプ分けをしたいという時,このグラフ技法は効果を発揮すると思います。

 日本は私型保育,北欧諸国は公型保育の社会ですが,核家族率に示されるような家族構造はほとんど同じです。日本でも,家族の小規模化・核家族化は欧米並みに進行しています。にもかかわらず意識は旧態依然のまま。このギャップから,虐待や介護殺人のような家族内の悲劇が起きているといえましょう。

 話が逸れましたが,大量ケースの2変数のデータをグラフにする場合,二次元の配置図が使える,という提案をしておこうと思います。コンピュータグラフィックの達人なら,3次元の立体図による3変数のグラフ化も可能なのでしょうが,私にはまだ,そこまでのテクはありません。

2017年3月21日火曜日

モノを考えなくなる労働者

 昨日の福井新聞に,「パワハラや過労,企業存続を左右 過去の発想では人材集まらない」という記事が出ています。
http://www.fukuishimbun.co.jp/localnews/society/117528.html

 昔なら,しごきに耐え,長時間労働も厭わない労働者は集まったのでしょうが,最近はそうはいきません。今の学生が会社を選ぶ基準は,給与や知名度から,残業のなさや有休が取りやすいことといった「働きやすさ」にシフトしてきています。

 これは随所で言われていることですが,上記の記事にとてもいいことが書いてありますので,引用させていただきましょう。

 「長時間労働で疲弊した人は新聞を読む気力もなく,物事を深く考えなくなる。少しの情報だけで自分の意見を決める。それが世論になってしまう。欧州では家族で食事をとりながら会話をしたり,広場やカフェで自由に議論をしたりする。時間に余裕があるかどうかは,民主主義の成熟と深く関わっている可能性がある」。(福井新聞,2017年3月20日)

 そうですねえ。日々の仕事で精一杯で,知の肥やしを得ることができなくなります。この記事では新聞に触れられていますが,国民の読書の頻度も減ってきている。とくに,働き盛りの年齢層においてです。

 下のグラフは,過去1年間に,自発的な趣味としての読書をした人の割合の年齢カーブです。2001年と2011年の曲線が描かれています。


 どの年齢層も,この10年間で読書の実施率が下がっています。この中には電子書籍による読書は含まれるでしょうから,スマホなどの危機の普及が原因ではありません。電子書籍を含め,書物を手に取る人間が減ってきている,ということです。

 グラフから分かるように,それはとくに働き盛りの層で顕著です。2本の曲線の落差が大きくなっています。私の年齢層(40代前半)では,54.4%から45.7%へと,10ポイント近くの低下です。

 バリバリの働き盛りですが,おそらくは長時間労働ゆえに,書を手に取るゆとりがなくなっているのでしょう。人手不足が影響しているのか,この10年間で平均仕事時間も増えています。

 2011年のデータによると,40代前半の男性有業者の平均仕事時間は,平日1日あたり10時間を超えます。また,35~44歳の男性有業者の5人に1人が,1日12時間以上働いています。
https://twitter.com/tmaita77/status/843793188515078144
https://twitter.com/tmaita77/status/843774234740441088

 加えて,育児と介護がかさなる「ダブルケア」の問題も出てきているのでしょう。晩婚化の進行により,この年齢層でも,手のかかる幼子がいる親御さんはたくさんいますし。それでいて,老親の介護ものしかかってくる。

 ちなみに今世紀以降,国民の読書実施率マップの色も,全体的に薄くなってきています。以下に掲げるのは,10歳以上の県民のうち,趣味としての読書を過去1年間にした者の割合の都道府県地図です。


 全国的に「知の剥奪」が進行している,といったら言い過ぎでしょうか。都市部で相対的に率が高いのは,書店や大きな図書館が多いためでしょう。

 国を挙げて,読書活動推進に向けた取組がされていますが,現実はかくのごとし。とりわけ働き盛りの層でこの傾向が顕著なことから,モノ言わぬ労働者の増殖が進んでいることの数値的な表現といえるかもしれません。この上に,やりたい放題のブラック企業も蔓延ることになります。

 ある程度の分量(深み)のある本を読まず,スマホでネットニュースの短いタイトル(リード文)をみて,それだけで自分の考えを決めてしまう。モノを深く考えない国民の増殖。恐ろしいことです,

 最近,暴行犯の激増に象徴されるように,キレる国民が増えているといいますが,腰を据えて本を読まない人が増えていることとも関連しているような気がします。本を読まない子どもは,人の話を長く聞けない,キレやすい,という論文を読んだことがありますが,確かに頷けます。私なども,気を付けないといけないのですが。

 政治の右傾化も,こうした土壌の上に蔓延りやすいことは,言うまでもないことです。

2017年3月18日土曜日

都道府県別の通勤・仕事時間

 今日は一日中,室内で肉体労働をしました。昨日届いたスチール本棚5台を組み立て,梱包の巨大段ボールを解体して束ねる。そして,台所に山積みにしておいた本を並べる作業です。


 学生の頃から使っていた木製の本棚3台は,引っ越し前に処分しました。無理に詰め込んだため,棚がひん曲がってしまったためです。これが木製の欠点。それに対し,スチールは耐性に優れています。組み立ても超簡単です。
http://tanabe.tank.jp/cool2/sutiruhondana-top.htm

 うーん,やはり本に囲まれると落ち着きますねえ。仕事をしようという意欲も湧いてきます。子どもの読書活動推進の取組が盛んですが,こんなふうに子どもを本で取り囲んでしまう環境を作るのもいいでしょう。詰める本は,図書館からフルに借りてくる,ブックオフの100円文庫を大量に買い込むなど,いろいろ揃える手はあります。

 さて,有業者の平均仕事時間を出した記事をツイッターで見かけました。それによると,トップはわが神奈川県で1日495分とのこと。これは平日なのか,週全体でみた平均なのか分かりませんが,神奈川県民としてはちょっと複雑な思いです。
https://twitter.com/hahaguma/status/842925983975931904

 この記事で紹介されているのは,全有業者の平均みたいですが,働き盛りの男性に限るとどうでしょう。また,仕事時間に通勤時間も加味すると,大変さの度合いがもっとリアルに正確に出てくると思います。

 私は,2011年の『社会生活基本調査』に当たって,35~44歳の男性有業者のデータを作ってみました。バリバリの働き盛りです。この層に限定して,平日1日あたりの平均通勤時間と平均仕事時間を県別に出してみました。ここでいう平均時間とは,調査日に当該の行動をした行動者の平均時間です。
http://www.stat.go.jp/data/shakai/2011/index.htm

 通勤時間(a),仕事時間(b),両者の合算(a+b)を高い順に並べたランキング表にすると,以下のようになります。


 通勤時間のトップは神奈川です。1日あたり(往復)106分,片道53分ですか。私が住んでいる横須賀市から都内に通勤するとなると,もっとかかるだろうな。その次が埼玉,3位が千葉と,東京を取り巻く3県が上位を占めています。さもありなん。

 仕事時間をみると順位構造は違っていて,上位には地方県が多く挙がっています。トップは岐阜の638分(10時間38分)です。地方は都会に比して仕事時間が短い,という記事を見たことがありますが,働き盛りの男性に限ると,必ずしもそうではないようです。意外にも,神奈川の平均仕事時間は全国値より短いではないですか。

 右端は両者を足し合わせた「通勤・仕事時間」で,大変さのレベルを測る指標としては,これがいいでしょう。トップは千葉で714分(11時間54分)! この県では,働き盛りのオトコは,1日の半分を電車内かオフィスで過ごすと。神奈川は仕事時間が短いので,これらの群からは外れています。

 しかし,秋田はいいですねえ。3つの指標とも名誉の最下位。本県の35~44歳男性の通勤・仕事時間は599分で,トップの千葉よりも2時間近く短くなっています。この年齢層の多くは子どもがいるパパでしょうが,わが子と接する時間も多く取れるでしょう。秋田は子どもの学力トップの県ですが,親世代の生活が落ち着いていることも影響しているのでは。こういう部分も投影されるものです。

 当然,通勤・仕事時間(a+b)が長い県では,睡眠時間は短い傾向にあります。下図は,上表の右端のデータと平均睡眠時間の相関図です。


 相関係数は,-0.8097にもなります。右下の都市県はキツイ。仕事時間が最長の岐阜も,この群に仲間入りしています。岐阜はいったい,何なんだろうなあ。

 有業者全体ではなく,働き盛りの男性に限ると,われわれが肌で感じていることが統計で鮮やかに可視化されるように思います。

2017年3月16日木曜日

真正待機児童数の推定

 今年も,全国各地で認可保育所落選の悲鳴が上がりました。今はSNSがありますので,こういう声がたちどころに伝わってきます。

 認可保育所への入所を希望しつつも入れないでいる乳幼児が,いわゆる「待機児童」ですが,当局の定義が実態を拾えてないことはよく指摘されます。悪条件の認可外保育所に入れている児童は,その中には含まれないなど。

 0~5歳の乳幼児人口から認可保育所在所児数を引くと,認可保育所在所児数が出てきます。幼稚園児,認可外保育所在所児,あるいは在宅保育児ですが,この中の何%くらいが真正の待機児童でしょうか。

 公的統計によると,2014年10月時点の0~5歳人口は627万4400人(総務省『人口推計年報』)。同時点の認可保育所在所児は223万552人です(厚労省『社会福祉施設等調査』)。よって,認可保育所に在所していない乳幼児は404万3848人となります。

 そうですねえ。このうちの1割(10%)が真正の待機児童と仮定すると,404万3848人×0.1=40万4385人という数になります。厚労省発表の2014年4月1日時点の待機児童数は2万1371人。むうう,ケタが違っています。

 10%というのは多すぎでしょうか。しからば5%,1%とすると,真正の待機児童数は以下のように見積もられます。

 5%の場合 ・・・ 404万3848人×0.05= 20万2192人
 1%の場合 ・・・ 404万3848人×0.01= 4万438人

 これでも,当局発表の待機児童数(2万1371人)を大きく上回っています。認可保育所在所児の5%が真正待機児童と見積もってもいいように思いますが,いかがでしょうか?

 これは全国の推定値ですが,47都道府県別に同じ計算をすることができます。認可保育所在所児(0~5歳人口から認可保育所在所児数を引いた数)の10%,5%,1%が真正待機児童と仮定した場合の推定値を,都道府県別に出してみました。


 どの県も,真正待機児童数の推定値は,当局の公表数よりもかなり多くなっています。「待機児童ゼロだぜ!」と威張っている県も,実態はそうでなかったりする。

 上表のデータは資料として見ていただければと思いますが,待機児童の把握漏れの度合いを測る指標を県ごとに計算してみましょう。計算式は以下です。

 把握漏れ率=(真正待機児童数-当局発表の待機児童数)/0~5歳人口

 真正待機児童数は3パターン出しましたが,中間の5%仮定の数値を使いましょうか。この場合,東京の待機児童の把握漏れ率は,(22076-8672)/630400=2.126%となります。

 この指標を都道府県別に計算し,ランキングにすると以下のごとし。


 埼玉や神奈川では,待機児童の把握漏れが相対的に多いようですね。保育所不足が深刻化している県ですが,保育ニーズも十分に拾えていない。

 逆に相対的に優良なのは沖縄で,真正待機児童の推定数と当局公表の待機児童数の差が小さくなっています。

 いろいろ抜けが多い現行の待機児童数に安堵し,何もしない自治体に喝を入れる意味でも,こういう指標の試算は無駄ではありますまい。今回のデータは2014年のものでちょっと古いですが,興味を持たれた方は,最新のデータで同じ作業をなさってみてください。

 各自治体の関係者の参考にもなるでしょう。

2017年3月13日月曜日

自動車学校の苦境

 18歳人口の減少で大学は苦境に立たされていますが,同じく若者を顧客とする自動車学校も大変みたいです。何とか生徒を呼び込もうと,食堂を食べ放題にしたり,カラオケなどのアミューズメント施設を設けたりする教習所もあるとのこと。

 自動車学校は,学校教育法でいう各種学校に該当し,入学者数の長期推移を文科省『学校基本調査』にて知ることができます。私は,同資料のバックナンバーに当たって,1980年から2016年までの変化を跡付けてみました。ついでに,同じく各種学校に分類される予備校の入学者数の推移も明らかにしてみました。

 以下に,数値の表を掲げます。需要層とは,これらの学校の主な顧客である15~24歳人口のことです。


 自動車学校の入学者は,1980年では4万6千人ほどでしたが,2016年現在では1万600人ほどに減っています。この36年間で,およそ4分の1に減ってしまいました。予備校は減少のスピードがもっと速く,9分の1にまで減っています。

 少子化により若年人口が減っているためでしょうが,需要層に占める入学者の比も,低下の一途をたどっています(右欄)。若者のクルマ離れ,予備校離れもあるでしょうね。下のグラフをみても,これらの学校の入学者減少のスピードは,需要層のそれよりも速くなっています。


 若年層だけを顧客に据えているようでは,今後は生き残りは難しいでしょう。最近は,大学受験の予備校が公務員試験予備校に鞍替えするなど,柔軟な措置がとられているようですが。

 自動車学校も,高齢ドライバーの再教習の機能に力点を置くべきではないでしょうか。現在の形式的な免許更新制を改め,70歳になったら免許を取り上げ,希望者はもう一度取得してもらうと。

 昨日,新居の近くを自転車で走っていたら,自動車に接触され転倒しました。原因は相手の前方不注意。幸いケガはなく物損事故という記録になりましたが,一歩間違えば惨事になっていたところです。

 事故処理をしてもらった警察官がいうには,「東京と違って,この辺りは高齢ドライバーが多いので,自動車を見かけたら,止まってくれるとは思わないほうがいい」とのこと。平たく言えば,「ブレーキがついていると思うな」ってことです。

 上述のように,70歳になったら「一から取り直し」の制度にすれば,免許返納以上の効果が得られると思うのですが,どうですかねえ。むろん多大な労力がかかりますが,若年の顧客が減って困っている自動車学校の協力を仰ぐということで。

 少子高齢化が進む日本では,教育の顧客もチェンジしないといけないでしょう。昨日,ちょっとした交通事故に遭って,こういうことを思いました。

2017年3月11日土曜日

楽しいサイクリング

 昨日,久里浜のサイクルショップで買った自転車が届きました。ごく普通のシティサイクル(ママチャリ)です。


 自転車なんて乗るのは,10年ぶりくらいかしら。院生の頃(2001~05年)は,小平のアパートから学芸大まで,およそ4キロの道のりを突っ走ってましたが,久しぶりなものんで,ゆっくりのろのろの安全運転。

 新居のある,横須賀市長井地区のマップは以下です。


 私の住まいから10分ほど走ると海岸に出れます。相模湾を左に北上して,長井水産の直販所で名物の「つみれ汁」を食しました。イワシの団子と大根がたっぷり入った,お味噌汁です。
http://www.nagaisuisan.co.jp/shop/


 メチャうま。寒い日には温まります。これでたった150円! うーん,おやつに毎日食べようかしら。野菜たっぷりですので,健康にもいいですしね。


 北端の長い岡崎公園から撮った,雄大な相模湾。天気のいい日は,富士山も見えるそうです。もうちょっと遅い時間だったら,夕日も綺麗だったでしょう。

 明日は,南西の端の荒崎公園に行ってみようかな。帰りに,ソレイユの丘で海を見ながら露天風呂といきたいところですが,明日は日曜で混雑すると思いますので,こちらは平日にしましょう。

 この長井地区を制覇した後は,南の三崎,北の佐島・葉山と,どんどん行動のエリアを広めていく予定です。えっちらおっちら自転車を漕ぐのは,健康にもいいでしょう。

 午前に仕事をして,午後の3時頃からサイクリング。当面は,こんな日が続くかなと思います。