2016年10月14日金曜日

若者の喫煙・飲酒率の国際比較

 煙草と酒は人間にとっての嗜みですが,私は最近,両方とも断っています。

 煙草は学生時代は吸っていましたが,2008年からピタリと止めました。今は酒もそうで,まあ2週間に一回くらい,日高屋でビールをジョッキ一杯飲むくらいです。

 私だけでなく,近年では若者がこれらから離れているとのこと。確かに,厚労省の『国民健康・栄養調査』の時系列統計などをみると,若者の喫煙率や飲酒率の低下が見て取れます。

 それでは,他の国はどうか。ここでは,ヨコの国際比較をしてみようと思います。20~30代の若者の喫煙率・飲酒率が社会によってどう違うか。こういうデータはあまり見かけないので,皆さんの参考になればと思い,作ってみました。

 データは,ISSPの「健康と健康管理に関する意識調査」(2011年)のものです。この調査では,喫煙と飲酒の頻度を尋ねています(Q24,Q25a)。「しない」という回答以外の割合を,喫煙率(飲酒率)としました。無回答などは除いた,有効回答の中での比率です。
http://www.issp.org/page.php?pageId=4

 日本の20~30代でみると,両方の設問に有効回答を寄せたのは328人。このうち,喫煙者は26.5%,飲酒者は48.8%,両方する者の率は17.1%となっています。煙草は4人に1人,酒はおよそ半数ですか。

 このデータを,正方形の面積図で視覚化してみましょう。左は日本で,右は北欧のスウェーデンのグラフです。


 青色は喫煙者,赤色は飲酒者の領分で,重なった部分は両方する者に該当します。スウェーデンでは,喫煙者は少ないですね。しかし寒いためか,酒を飲む者は7割と多くなっています。煙草も酒もする者は8.6%で,これは日本のほうが多し。

 まあ図形を見る限り,日本もスウェーデンも,煙草ないしは酒をやる若者が多いことが知られます。

 他の対象国についも同様に,喫煙率,飲酒率,両方する率を計算してみました。下表は,31か国の一覧表です。上位5位は赤字にし,首位はゴチの赤字にしています。


 日本の3つの値は,31か国の平均よりもちょっと低いくらいです。

 喫煙率のトップはブルガリアで52.2%,飲酒率はノルウェーで80.6%なり。先ほどのスウェーデンもでしたが,寒いので酒は手放せないのでしょうか。イスラーム社会のイスラエルやトルコでは,飲酒率は低くなっています。

 煙草も酒もやる猛者の率の首位は,リトアニアの32.7%です。その次はロシアです。赤字の分布をみると,旧共産圏の社会で喫煙率や飲酒率が相対的に高いように見えます(酒は寒い国)。社会的な統制が強いので,人々は嗜みを求めるのでしょうか。

 その対極がアジアの台湾で,この国は喫煙率・飲酒率が1割くらいで,両方する者は5%ほどしかいません。逆をとると,若者の8割以上が煙草も酒もしない社会です。

なるほど,ちょっとググってみると,台湾は喫煙に厳しい社会とあります。2009年のたばこ煙害法改正により,喫煙への風当たりが強まっているそうです。今の日本よりも先を行っています。
http://www.taiwanzine.net/archives/12696

 また,食事のお供に酒が供されることは少なく,お茶が好まれるとのこと。健康志向なんですねえ。

 日本も,これからだんだんと率が低くなっていくのでしょう。ただ,「禁煙ファシズム」と形容されるような,闇雲な規制はしないで欲しいなと,個人的には思います。喫煙者をスケープゴートに仕立てるような向きも感じられますが,それは「いじめ」というものでしょう。