2016年8月20日土曜日

都内23区の生活習慣病死亡率の推計

 昨日,ツイッターにて,都内23区の生活習慣病死亡率のデータを発信しました。各区の経済力(年収)と強く相関しているというもので,見てくださる方が多かったようです。
https://twitter.com/tmaita77/status/766571255604490240

 しかるに,各区の年齢構成の影響を考慮する必要があるのではないか,という声が多数でした。なるほど,生活習慣病(がん,心臓病,脳梗塞)の死亡率は,年齢によって大きく異なっています。下表は,東京都の年齢層別の生活習慣病死亡率です。


 ご覧のように,生活習慣病の死亡率は,年齢を上がるとともに指数関数的に増加していきます。そうである以上,地域別の生活習慣病死亡率を見る際は,年齢構成の違いも考慮しなければなりますまい。

 といっても,年齢層別の生活習慣病死亡者数を,地域別に知ることはできません。そこで私は,都全体の年齢層別の死亡率(上表)を使って,23区の生活習慣病死亡率の期待値(推計値)を出し,それを実測値と照合してみることにしました。

 生活習慣病の死亡率が,年齢構成からした期待値よりも高いならば,問題であることになります。私は,上表の年齢層別の死亡率を,各区の年齢構成でウェイトづけして,生活習慣病死亡率の期待値を出してみました。

 たとえば,足立区の日本人住民の年齢構成は,0~4歳が4.14%,5~9歳が4.03%,・・・95~99歳が0.16%,100歳以上が0.02%です(2014年1月1日時点)。これを,上表の年齢層別死亡率に乗じて重みづけして,死亡率の期待値を出すと,以下のようになります。

 {(0.32×4.14)+(0.26×4.03)+・・・(939.48×0.16)+(1158.77×0.02)}/100.00=47.61

 年齢構成から期待される,2014年の足立区の生活習慣病死亡率(住民1万人あたりの死亡者数)は47.61です。しかるに,実際の生活習慣病死亡率(2014年中の死亡者数/同年1月1日の日本人人口)は54.56です。

 足立区は,年齢構成から予測される死亡率よりも,実際の死亡率が高くなっています。貧困による食習慣の乱れなどの因子が影響しているのでしょう。

 私はこのやり方で,都内23区の生活習慣病死亡率の期待値(推計値)を出し,実際の死亡率(実測値)と照合しました。下表は,その一覧表です。


 実測値が推計値を上回っている区もあれば,その逆も区もあります。

 足立区,江戸川区,荒川区,台東区は,年齢構成から期待される死亡率よりも,実際の死亡率が5ポイント以上高くなってしまっています。

 逆に,文京区,目黒区,世田谷区,杉並区は,実際の死亡率が理論値よりも5ポイント以上低し。行政にとって,誇ってよいことです。

 しかるに,上表の結果は,各区の健康増進に関わる施策よりも,住民の階層構成のような基底的要因と強く関連しているとみられます。たとえば,上表の生活習慣病死亡率の残差を,各区の平均世帯年収(2013年)と関連付けてみると,下表のようになります。


 年収が高い区ほど,生活習慣病の死亡率が,年齢構成からした期待値よりも低い傾向がみられます。年収が低い区は,その反対です。

 富裕層は健康管理や食習慣に気を遣い,病院にも足繁く通う。貧困層はその逆。上図は,経済力とリンクした「健康格差」現象のマクロ的な表現であるともいえましょう。

 各区の生活習慣病死亡率の年齢調整値は出せませんけど,今回のような残差分析(実測値-推計値)から,住民の健康に影響する地域の要因の存在は指摘できるかと思います。

 年齢構成からした期待値と実測値の照合。こういうデータにも,各区の健康行政の関係者は関心を払うべきかと存じます。

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