2016年7月15日金曜日

小学校教員採用試験の競争率

 教員採用試験が始まりましたが,気になるのは競争率。受験者はそれが低いことを願い,採用側はその逆を望んでいます。

 文科省の資料により,小学校の試験の競争率を跡付けてみると,下表のようになります。90年代以降の25年間の推移です。受験者(a),採用者(b),そして競争率(a/b)の変化を掲げています。


 民間の就職が好調だったバブル末期は競争率が低かったようです。91年度試験では,3倍を切っていました。しかし,不況の深刻化に伴い競争率はぐんぐん上昇し,2000年度には12.5倍とピークになります。

 いみじくも,私の世代(76年生まれ)が新卒で試験にトライした年です。確かに,当時の試験が激戦だったことは,私も肌身で知っています。「まさかあの人が・・・」というような人が,試験でバンバン落とされていました。われわれの世代が,ついてない「ロスジェネ」であることは,こういう統計からも知られますね。

 しかし今世紀になってから,競争率は低下の傾向にあります。景気回復もあるでしょうが,団塊世代の大量退職により,採用が大幅に増やされたことが大きいでしょう。2015年度試験の競争率は3.9倍となっています。4人に1人が通ると。

 さて,上表のデータをグラフにしようと思いますが,みなさんならどうしますか。競争率は受験者数と採用者数の2要素で決まりますので,これらの変化も表現したいもの。オーソドックスに,3本の折れ線グラフにしますか。

 それもいいですが,私は違った図法にしてみました。横軸に受験者数,縦軸に採用者数をとった座標上に各年のドットをプロットし,その位置によって競争率を知るというグラフです。


 どうでしょう。90年代以降,少子化を見越して,採用の抑制が図られます。どんどん下にシフトしていますね。90年代後半は不況の深刻化により,民間の就職が厳しくなったので,受験者も多くなります。

 この2つのトレンドが頂点に達した2000年度において,競争率は12.5倍とピークになったわけです。グラフでは,まさに「どん底」ですね。

 しかしその後は,団塊世代の大量退職をにらんでいか,採用が増えましたので,競争率は下がっていきます。試験の受験者も増えましたが,採用増のスピードはそれ以上でしたので,競争率は下がってきたということです。ご覧のように,最新の2015年度試験のドットは,4.0倍を下回るゾーンに位置しています。

 試験の競争率にしろ,大学進学率にしろ,「**率」という指標は「分子/分母」の割り算で出されます。よって当該の指標値(割り算の結果)と同時に,元となった2つの要素の動向も把握したいものです。その場合,上記のような図法もありだと思います。

 昨日ツイッターで,産業別の有給休暇取得率のグラフを発信しましたが,それも上記と同じ形式です。有給付与日数と取得日数のマトリクスに,各産業のドットを配置し,各々の位置から取得率を把握しています。
https://twitter.com/tmaita77/status/753576205190737921

 グラフ技法の提案として,記録しておきます。

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