2016年2月16日火曜日

男性のWLB指数の国際比較

 WLBとは,「ワーク・ライフ・バランス」の略です。和訳すると「仕事と生活の調和」となります。共生社会の実現を掲げる,内閣府の政策の目玉ポイントです。

 大人の生活の場は,家庭,職場,地域社会からなりますが,わが国の成人男性にあっては,職場の比重が殊に大きいことはよく知られています。WLB施策は,それを是正しようとする営みに他なりません。

 現実に,男性のWLBはどれほど進んでいるか。私は,仕事時間(W)と家庭での生活時間(F)を使った,簡便な尺度を考えてみました。以下のようなものです。

 WLB指数=F/(W+F)

 ISSPが2012年に実施した『家族と性役割に関する意識調査』では,週当たりの仕事時間と家事・家族ケア時間を尋ねています。日本の子(18歳未満)持ちの有配偶男性でみると,週当たりの平均仕事時間は51.0時間,平均家事・家族ケア時間は12.0時間です(ローデータより独自に計算)。よって上記の指数は,19.1%と算出されます。
http://www.issp.org/index.php

 WとFの合算に占めるFの割合は,およそ5分の1です。スウェーデンの子持ち有配偶男性は,仕事時間が42.1時間,家事・家族ケア時間が28.6時間ですから,WLB指数は40.5%となります。この北欧国では4割。違うものですねえ。

 この値を他国についても計算してみました。下表は,その一覧です。18歳未満の子がいる有配偶男性のWLB指数です。指数の計算に使った,WとFの値も掲げておきます。


 日本の男性のWLB指数は,値を計算できた34か国の中では最低となっています。それもそもはず。仕事時間は4位ですが,家事・家族ケア時間は最下位ですので。

 われわれの感覚からすれば,働き盛りのオトコの「F/(W+F)」の値が2割ほどというのは,さして違和感がありませんが,国際的にみたら特異であるようです。34か国のWLB指数の平均値は35.8%であり,40%(4割)を超える国もあります。アイルランドやインドは45%超で,WとFがほぼ拮抗しています。女性蔑視が強いといわれるインドですが,この国のダンナは結構家事をするんですよ。

 上表のデータをビジュアル化しておきましょう。横軸に仕事時間,縦軸に家事・家族ケア時間をとった座標上に,34の国を配置しました。斜線は,WLB指数を表します。


 日本の男性は仕事時間が長く,家事・家族ケア時間が短いので,右下に位置しています。先ほど述べたように,WLB指数は20%未満,最下位です。

 韓国は20%台前半,独仏英は30%台後半,瑞米は40%超なり。この図から,子持ち男性のWとFの絶対水準と同時に,WLB指数の位置もみてとれます。

 日本のお父さんはこういう状況なのですが,これは,子どもたちにとっての悪いモデルとなっていそうです。日々の家庭でみる父親の姿がこうでは,学校におけるWLB教育の効果も半減しようというものです(反面教師になることはあり得ますが)。

 教育は,真空の中で行われているのではありません。まぎれもなく,外部社会の影響を被っています。われわれは一時たりとも,このことを忘れるべきではありません。

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