2015年11月13日金曜日

首都圏の貧困世帯率マップ

 総務省の「住宅土地統計」には,市区町村別の世帯年収分布が掲載されているのですが,これを使って,各地域の貧困世帯率を計算することが可能です。

 貧困世帯とは,世帯員の年収が,全国でみた年収の中央値の半分に満たない世帯をいいます。これに該当する世帯が全世帯の何%か。これが,ここでいう貧困世帯率です。

 私は,2013年のデータを使って,首都圏(1都3県)の214市区町村の貧困世帯率を出してみました。それをもとに,地図も作ってみました。今回は,それをご覧に入れようと思います。
http://www.stat.go.jp/data/jyutaku/index.htm

 まずは,全国の世帯年収分布から,貧困世帯を割り出すための貧困線を求めてみましょう。前述のように,年収の中央値の半分です。


 全国の4868万世帯(主世帯)の年収分布は,上記表のようになっています。年収200万円台の世帯が全体の17.8%と最多ですが,これは,若年や高齢の単身世帯等も含むためです。

 さて中央値はいくらかですが,右端の累積相対度数から,年収300万円台のどこかということになります。按分比例の考えを使って,中央値の見積もりを出してみます。以下の2ステップです。

 ① (50.0-38.5)/(54.2-38.5)=0.732
 ② 300+(100×0.732)=373.2万円

 全国の世帯年収分布の中央値は,373.2万円と想定されます。よって貧困線(poverty line)は,この半分の値をとって,186.6万円となります。年収がこれに満たない世帯は,貧困世帯と判定されるわけです。

 ここでは,年収186.5万円までの世帯を貧困世帯とみなすことにしましょう。上記の分布表から,これに該当する世帯数は,以下のように推し量られます。

 3,306,400+(6,744,700×0.865)=9,140,566世帯

 よって,全国データでの貧困世帯率は,これを世帯の全数(48,678,900世帯)で除して,18.8%となります。およそ5分の1が貧困世帯。まあ,違和感のない数値です。

 私は同じやり方にて,首都圏214市区町村の貧困世帯率を出してみました。貧困線の年収186.6万円未満,つまり年収186.5万円までの世帯の割合です。それを地図にすると,下図のようになります。首都圏の貧困世帯率マップです。


  上の首都圏地図をみると,千葉の周辺部の色が濃くなっていますね。これは,単身の高齢世帯が多いためでしょう。214市区町村の貧困世帯率トップは,同県の勝浦市で41.8%にもなりますが,国際武道大学がある当該市では,学生の単身世帯が多いためとみられます。

 ここで使っているのは全世帯のデータですので,各地域の貧困世帯率は,高齢化や単身化の影響を受ける可能性があることに留意ください。

 下に掲げたのは,都内23区の拡大図です。地域性がはっきり出ていて,北部の色が濃くなっています。これは,高齢化や単身化の影響だけではないでしょう。地域の所得水準やひとり親世帯の量など,住民の貧困化レベルの表現と読めそうです。

 ちなみに都内23区の貧困世帯率は,子どもの学力と強く相関しています。下の図は,貧困世帯率と小学校5年生の算数学力の相関図です。


 貧困世帯率が高い区ほど,算数の正答率が低い傾向にあります。相関係数は-0.6927にもなり,1%水準で有意です。貧困と学力不振の相関のマクロ的な表現といえるでしょう。

 通塾や参考書購入の費用を賄えない,勉強部屋がないといった,個々人の家庭環境の要因と同時に,地域に貧困カルチャー,どんよりとしたクライメイトが漂うことの影響も大きいでしょう。上の統計図から,家庭環境とは別の地域の要因も汲み取るべきかと思います。

 次回は,ここで出した首都圏214市区町村の貧困世帯率のランキング表を掲載いたします。

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