2014年10月16日木曜日

大卒学歴の社会的性格の国際比較

 秋晴れの木曜ですが,いかがお過ごしでしょうか。私は後期は月と金の出勤なので,今日は在宅仕事をしています。仕事と呼べることをしているのかは分かりませんが。

 さて今日の朝日新聞Web版に,「教育と所得・米国流方程式の危険性」という記事が載っていました。アメリカでは,所得の学歴差がべらぼうに大きい。「米国では,大卒者は高卒者よりも平均で74%も高い給与を得ている」のだそうです。

 富の配分に際して学歴がモノをいう度合いが高い社会を学歴社会といいますが,米国は,それを最も純粋な形で具現している社会です。しかし,わが国も負けてはいません。今日の日経デュアルの拙稿では,正社員の学歴別年収の年齢曲線を紹介していますが,加齢と共に学歴差がぐんぐん開いてきます。男女とも,40代以降では200万超もの差です。

 上記の朝日新聞の記事は,OECDの統計の引いているようですが,「Education at a Glance 2014」をみたら,国別のデータが載っていました。高卒者の賃金を100とした場合の,大卒者の相対賃金です。

 はて,大卒者の優位性が際立っている社会はどこか。こういう関心のもと,ランキングの棒グラフをつくろうかと思いましたが,各国の大卒者の量も考慮しなければなりますまい。大卒者の相対賃金が高いといっても,この層が社会の中で多いか少ないかによって,その意味合いは違ってきます。

 私は,31の社会について,大卒者の割合とその相対賃金を収集しました。年齢の影響を除くため,25~34歳の層を取り上げます。双方とも出所は,OECDの上記資料です。日本でいうと,大卒者の割合は35%,大卒者の相対賃金(高卒=100)は144です。アメリカ,大卒者率が34%,相対賃金が170なり。なるほど,朝日新聞でいわれているように,大卒は高卒の7割以上高いですね。

 31か国の布置図をつくってみましょう。横軸に大卒者の割合,縦軸に大卒者の相対賃金をとった座標上に,31の社会を散りばめてみました。


 右側に位置するのは,大学教育が普及している社会ですが,わが国や米国以上の社会も結構あります。ノルウェーや韓国です。ノルウェーでは,25~34歳人口の44%が大卒者です。この北欧国ではリカレント教育も盛んだといいますが,その影響もあるでしょう。

 上方にあるのは,大卒者の相対賃金が高い国です。こちらも日米を上回る国があり,南米のチリでは,大卒者は高卒者の2.5倍以上稼いでいます。スゴイですね。

 チリでは,大卒者の割合はわずか16%であり,31か国の中で最低です。一方,大卒の相対賃金はトップ。まさに,大卒学歴が希少価値を持っている社会であるといえましょう。トルコやドイツも,こういう性格が比較的色濃いようです。

 その右隣は,同じく大卒の優位性が高いのですが,大卒者の量が多い社会。こちらは大卒者のほうが標準(normal)であり,それ以外の者は不利を被る。いうなれば,大学を出ないとキツイ社会なり。進学の社会的強制という現象もあろうかと思います。

 その下は,大卒者が多く,相対的優位性が小さい社会です。大卒者が増えすぎて,そのプレミアがなくなった社会です。ノルウェーでは,高卒と大卒の給与がほとんど同じです。日本は,右上と右下のタイプの境界上にありますが,これから先,どちらに転ぶでしょう。私としては,後者のほうがいいかなと思います。

 最後の左下は,大卒者が少なく,かつその優位性も小さい社会です。これは,「大学に行って,何になるんよ」という社会でしょうか。南欧のイタリアがその典型なり。

 大卒者の相対賃金という軸に,その量的規模という軸も加えると,このようなタイプ分けが可能です。社会の発展に伴い,左上から右下にシフトし,成熟化の段階になると右上に行くというのが一般的でしょう。となると,日本も将来はアメリカ型になるのか。それとも,ノルウェーの方向に動くか。東京オリンピックが行われる2020年の頃には,その答えもある程度出ていることでしょう。

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