2014年10月5日日曜日

大学の退学率の布置構造

 毎年実施されている読売新聞社の全国大学調査ですが,本調査の目玉は退学率を調べていることでしょう。以前は大学別の退学率でしたが,最近では,各大学の学部ないしは学科別の数値が明らかにされています。

 なお退学率には,①入学後1年以内の退学率と②在学期間中の退学率,という2種類があります。前者は,読んで字のごとくです。最新の『大学の実力2015』には,2013年4月入学者のうち,翌年の4月までに退学した者の比率が掲載されています。後者は,4年間(医歯薬学部等は6年間)の退学率です。
http://www.chuko.co.jp/tanko/2014/09/004656.html

 上記の資料から,全国の大学の1698学部・学科について,①と②の両方の退学率を知ることができます。私は,①の初年次退学率を横軸,②の在学期間中の退学率を縦軸にとった座標上に,1698の学部・学科を位置づけてみました。データ数は,国公立が504,私立が1194です。


 左は国公立,右は私立の分布図ですが,様相がかなり違っていますね。十字の点線は,1698学部・学科の平均値ですが,国公立はほとんどが両者よりも下ですが,私立はこの限りではありません。退学率がべらぼうに高い学部・学科も存在します。

 ちなみに赤色のドットは,私が非常勤で教えているK大学の某学部です。初年次退学率が4.2%,4年間のそれが20.0%,結構高いんだな。高校生のみなさん,自分が志望する学部・学科を,上記の全体図の中に位置づけてみてください。『大学の実力2015』には,個々の学部・学科の情報が掲載されていますが,それを全体図の中に置いてみるのも一興です。

 今回は,設置主体(国公立VS私立)で仕分けてみましたが,興味が持たれるのは,偏差値群ごとに上記の布置図を作ったらどうなるか。おそらくは,偏差値が下がるごとに,分布が左下から右上へとシフトするのではないでしょうか。


 実は先ほど,学研教育出版社の『大学受験案内2015』が届いたところです。この資料から,各大学の学部・学科の入試偏差値が分かります。これを入力して,それぞれの退学率との相関をとってみるつもりです。正規就職率との関連もみたい。

 この作業は,個々の大学の実践を超える,組織的社会化の現実を明らかにするために行うものです。と同時に,偏差値が低いにもかかわらず「がんばっている」ケースを検出しようという意図をも持っています。

 前にも同じことをしましたが,最新のデータにて,より手法を洗練させて追試するのも無駄な作業ではありますまい。

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