2014年8月13日水曜日

児童相談の年齢曲線

 全国の児童相談所には,虐待をはじめとした,各種の児童相談が多数寄せられます。2012年度の1年間で寄せられた相談件数は36万4,999件。1日あたり千件にもなります。
http://www.mhlw.go.jp/toukei/list/38-1.html

 0~17歳の児童に関わる相談の件数ですが,1歳刻みの細かい件数も知ることができます。最も多いのは,14歳の児童に関わる相談であり,その数2万6,798件。全体の7.3%を占めます。各年齢の相談件数が全体に占める割合を出し,それらをつないだ折れ線を描くと,下図のようになります。児童相談の年齢分布曲線です。


 中間がとんがったノーマルカーブではなく,大よそ「2こぶ」のラクダ型ですね。ピークは,3歳と14歳。ほう,発達心理学でいう第一次反抗期と第二次反抗期に符合します。前者は,自我が芽生えた幼児がそれまでの親の全面的な支配に抵抗しだす時期であり,後者は,青年期の入り口に差し掛かった子どもが親からの独立を志向し出すことによります。

 こういう「難しい」時期ですので,困惑した親御さんからの相談が多くなる,ということでしょう。子育てを一通り終えられた経験のある方にすれば,まさに「あるある」ではないでしょうか。

 ところで,児童相談と一口にいっても,さまざまな種類があります。虐待相談,非行相談,性格行動相談,いじめ相談・・・。これらの種類ごとに,上図のような年齢曲線を描くとどうなるでしょう。私は,メジャーな8つの相談の年齢曲線をつくってみました。

 性格行動
 育児・しつけ
 いじめ
 非行
 不登校
 虐待
 障害
 適性

 以下の①~⑧は,それぞれの曲線です。どの年齢に多いかという,曲線のが分かればいいので,目盛は省いています(横軸は年齢です)。


 ①~⑧が,どの種類の相談の曲線か分かりますか。教育学や発達心理学の素養がある方なら,だいたいピンとくるのではないでしょうか。答えは,下記URLの日経デュアル記事にてご確認ください。拙稿「児童相談から分かるヤバい年齢-2つのピーク-」です。私なりの考察も添えています。
http://dual.nikkei.co.jp/article.aspx?id=2332

 私見ですが,教員採用試験ではこういう問題を出すといいと思います。子どもの心理や問題行動の理解を試すのにもってこいです。昔の偉人の学説を問うのもいいですが,現代日本の子どもの現実態をちゃんと知っているか。こういう点も重要かと。

 私が出題者になったら,問題用紙はグラフだらけになるかな。教職課程の授業では,この種の統計の問題をガンガン出しています。「あの先生の試験ではグラフがよく出るよ」。こんな噂も立てられています(笑)。

 後期は教職の授業があるのですが,初回で,学生さんにやらせてみようかな。前期に教育心理学を受講しているはずなので,その知識を拝見といきましょう。

 今週はお盆休みですね。お付き合いのある編集者諸氏も,今日からお休みだそうです。よい休暇をお過ごしください。