2014年5月24日土曜日

中学校教員の女性比(教科別)

 わが国の教員の女性比率は,中等教育段階以降では低いのですが,担当の教科によって様相は異なります。理系教科の担当教員の多くは男性でしょうが,そうした肌感覚を数値できっちりと表してみましょう。

 2010年度の文科省『学校教員統計』をみると,各教科を担当している教員の比率が掲載されています。中学校の国語でいうと,男性教員は8.4%,女性教員は17.7%です。同資料から分かる,中学校の男性本務教員は137,307人,女性本務教員は95,663人。したがって,国語を担当している教員の実数は,男性が11,534人,女性が16,932人と見積もられます。
http://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/chousa01/kyouin/1268573.htm

 同じやり方にて,他の教科を担当している教員の数を推し量ってみました。下の表は,結果を整理したものです。


 右端に女性比率を掲げましたが,最も低いのは社会で17.4%です。女性比の最低は数学か理科かと思っていましたが,社会なんですね。中学校の社会の免許は法学部や経済学部でも取れますが,学生の多くは男性ですから,こうなるでしょうか。

 女性比率が最も高いのは音楽(73.8%)で,国語,英語がそれに次ぎます。この点も経験則に合っているように思います。ただ私の場合,中学校の音楽の先生はずっと男性でした。イレギュラーなケースだったんだな。

 上記の表のデータを視覚化してみましょう。単純な性別の帯グラフというのは芸がないので,横幅を使って,各教科の担当教員の比重も表現しました。音楽や美術といった芸術系教科の担当教員は,量的には少なくなっています。なお点線は,本務教員全体の女性比率(41.1%)を意味します。


 最近,政府はリケジョを増やそうとしています。新潟大学の工学部のように,イケメンの写真入りの入学パンフを配布している所もあるそうな。

 そういう取り組みもいいですが,理系専攻の女子がなかなか増えない理由として,子ども期におけるロール・モデルの不足という問題があるのではないでしょうか。多感な思春期に目にする理系教員のほとんどは男性で,女性はわずか…。こういう現実です。

 この伝でいうと,中高の数学・理科教員の*%は女性にするという数値目標も必要なのかもしれません。教員全体の女性比については,多くの自治体が配慮しているのでしょうが,教科別となるとどうか。担当教科別の女性比の図をつくってみて,こういう疑問を持つ次第です。