2014年2月3日月曜日

殺人率と自殺率の国際比較図

 前に,殺人率と自殺率の国際比較図をツイッターで発信したところ,見てくださる方が多いようなので,ブログにも載せておきます。横軸に自殺率,縦軸に殺人率をとった座標上に,188の社会を位置づけたものです。

 殺人率とは人口10万人あたりの殺人事件件数をいい,自殺率とは人口10万人あたりの自殺者数を意味します。双方とも2008年のデータです。


 日本は殺人率が非常に低く,自殺率が高いので,右下の底辺を這うような位置にあります。他の先進国もおおむね同じです。アメリカは物騒だとかいわれますが,世界全体でみれば,この国よりも殺人率が高い社会がわんさとあります。邦人の殺害事件があった南米のエクアドルが,だいたい中間というところです。

 ところで,殺人と自殺という,性質が真逆の逸脱行動の量を同時観察することで,それぞれの社会の国民性のようなものがみえてきます。極限の危機状況に置かれたとき,他人を殺るか,それとも自らを殺めるか。図の数値は,各国の国民の内向性を可視化したものです。

 日本の殺人率は0.5,自殺率は24.8です。殺人と自殺の合算量のうち,98.0%が自殺で占められています。対して中米のホンジュラスの場合,この値はわずか9.0%です。両国のお国柄のコントラストが明らかです。
 
 わが国では,危機状況のほとんどが,誰にも危害を加えない形で処理されている。結構なことではないか,という意見もあるでしょう。しかし,際立って高い内向率の裏には,「他人に助けを求めるのは恥ずべきこと」「なんでもかんでも自己責任」といった機械思考が蔓延している,日本社会の病理兆候も見え隠れしています。

 上記の国際統計は,こうした視点から読み解くべきだと思いますが,いかがでしょうか。

2 件のコメント:

  1. > アメリカは物騒だとかいわれますが,世界全体でみれば,この国よりも殺人率が高い社会がわんさとあります。

    アメリカは物騒と言われているというのは、他殺の多い低中所得国から他殺の少ない高所得国までごっちゃに比較しての話ではなくて、他殺は低中所得国で多く高所得国で少ない(自殺はその逆)ことが知られていて、

    World report on violence and health
    p.274-276
    TABLE A.3
    Estimated mortality caused by homicide,a by sex, age group, WHO region and income level, 2000

    高所得国の中で比べても、アメリカは他殺が例外的に多い

    U.S. Health in International Perspective: Shorter Lives, Poorer Health
    http://obssr.od.nih.gov/pdf/IOM%20Report.pdf
    p.33-34
    "The United States also has dramatically higher rates of death from violent injuries, especially from firearms. In a study that compared 23 OECD countries in 2003, the U.S. homicide rate was 6.9 times higher than the
    other high-income countries and the rate of firearm homicides was 19.5
    times higher."

    ということではないですか?(ロシアも例外ですが。)


    おまけでこういうのもありました。
    http://ije.oxfordjournals.org/content/34/4/837.full
    "Results The overall correlation between homicide and suicide rates was weak and statistically insignificant (ρ = −0.08, P = 0.5178). However, when analysed by geographic region the data revealed two distinct patterns: homicide and suicide rates were positively correlated in European countries (ρ = 0.89, P < 0.0001), but negatively correlated in the Asia Pacific Region (ρ = −0.97, P < 0.0001), and the Americas (ρ = −0.62, P < 0.005)."

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  2. フェイスブックのシェアで来ました。大変興味深く拝見させていただきました。

    これは横軸にGDP,縦軸に自殺率、殺人率を設定したら高い相関をみることができるのではないでしょうか。

    または縦横軸そのままで一つの国を時系列で追ったら左上から右下へプロットが移動していく傾向がわかりそうです。

    ジニ係数と絡めても面白そうです。

    今後も楽しみにしています。

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