2014年1月5日日曜日

身の回りサービス従事者率の国際比較

 女性の社会進出や高齢化の進展に伴い,保育や介護職への需要が高まっています。はて,現在のわが国では,これらの職に従事する人間はどれほどいるのでしょうか。人口あたりの比率は,他国に比して高いのでしょうか。

 OECDの国際成人力調査“PIAAC2012”では,調査対象者の職業を尋ねています。記入された職業名を後から分類するアフターコード形式ですが,設けられているカテゴリーの一つに「身の回りサービス従事者」というものがあります。英語でいうと,“Personal care workers”です。

 保育従事者や介護福祉従事者は,このカテゴリーに含まれます。この中には,教師補助員や医療補助員なども混じっていますが,保育や介護に従事する人間の量を測る指標として使えるでしょう。私は,このカテゴリーの職に従事する者が調査対象者全体に占める比率を,国ごとに計算しました。

 日本の場合,本調査の対象者(16~65歳)は5,278人です。うち,身の回りサービス従事者は204人です。したがって,この職業に従事している人間の比率は3.87%となります。16~65歳の国民26人に1人というところです。

 この数値を他国についても出し,高い順に並べてみました。下の表は,計算不能な国を除く18か国のランク表です。なおこのデータは,PIAAC2012のローデータを独自に分析して作成したものであることを申し添えます。未加工データは,下記サイトにてDL可能です。
http://www.oecd.org/site/piaac/publicdataandanalysis.htm


 トップはスウェーデンですね。この国の身の回りサービス職従事者率は7.94%であり,わが国の倍以上です。2位は同じく北欧のノルウェー,3位は「ゆりかごから墓場まで」のイギリスとなっています。

 下位のほうをみると,南欧や東欧の国が多くなっています。イタリアやスペインの出生率低迷は,こういう条件とも関連しているかもしれませんね。旧共産圏で率が低いのは,何か特殊事情があるのでしょうか。ちょっと分かりません。

 日本の3.87%は,中央よりちょっと高いという位置ですが,保育や介護の対象人口が多いことを勘案すると,どう評価していいものか・・・。この層の対人口比率も出し,これと関連づけてみましょう。

 ここでは,10歳未満人口と65歳以上人口の合算をもって,保育・介護の対象層とみなします。国連の人口推計サイトの統計によると,2010年の日本の場合,この意味での対象人口比率は31.6%です。全国民のおよそ3分の1なり。
http://esa.un.org/unpd/wpp/unpp/panel_indicators.htm

 18か国について,保育・介護対象人口比率を出し,上表の身の回りサービス職従事者率と関連づけると,下図のようになります。点線は,18か国の平均値です。


  予想されることですが,高齢化が進んでいる日本は,保育・介護の対象人口率はトップです。しかし,身の回りサービス職従事者率はというと,北欧はおろか,米国よりも低くなっています。

 需要の充足率という点でいうと,日本はややお寒い状況にあるようです。南欧のイタリアやスペインはもっと。先にも書きましたが,この2国の出生率低迷は,こういう部分にもよるのではないかしらん。

 これから先,どの社会も図の右側にシフトすることは確かですが,右上に行くか右下に行くかは政策次第。PIAAC調査も定期的に実施されると聞いています。次回の調査において,各国の位置はどう変化しているか。定点観測をしていきたいテーマです。

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