2013年10月1日火曜日

大学の学部別の退学率分布

 先月の25日に,読売新聞教育部の『大学の実力2014』が中央公論新社より発刊されました。読売新聞社が毎年実施している,全国大学調査の結果が収録されています。
 


 今年の回答大学数は655大学だそうです。今年度の『学校基本調査』から分かる全国の大学数は782ですから,母集団の83.8%が掬われていることになります。表紙の「日本最大規模の調査データ」というフレーズ,偽りなしです。

 調査事項も年々充実してきており,各大学の学生数や教員数といった基礎データはもちろん,入試形態や取り組んでいる教育実践,卒業後の進路内訳も知ることができます。さらに特記すべきは,昨年より学部別の集計がなされていることでしょう。

 本ブログを始めて間もない頃,この調査のデータを使って,全国の大学の退学率分布を出したことがあります(2010年12月31日の記事など)。しかるに,**大学といっても,学部によって率はさぞ違うだろうな,という疑問を持っていました。私の非常勤先の武蔵野大学は8つの学部を擁していますが,学部によって学生の姿はかなり違うな,という印象です。

 私は上記資料のデータを用いて,学部単位の退学率分布を明らかにしました。ここにて,その全体構造をご覧にいれようと思います。

 読売新聞の全国大学調査では,2種類の退学率が調査されています。①在学期間中の退学率と②初年次退学率です。今年の調査結果に掲載されている,数値の計算式は以下の通り(4年制学部)。

 ①=2013年3月までの退学者数/2009年4月の入学者数
 ②=2013年3月までの退学者数/2012年4月の入学者数

 ①は4年間の在学期間中にどれほど辞めたか,②は入学後1年を待たずして辞めた者がどれほどいるか,という指標です。なるほど。このように2つの角度から捉えたほうがベターでしょう。

 調査結果一覧には,①と②の退学率が655大学の学部別に掲載されています。①が分かるのは1,713学部,②が分かるのは1,814学部です(4年制学部)。下表は,2%刻みの度数分布表です。


 学部単位でみると,退学率は幅広く分布しています。退学率が高い学部も結構あり,4年間の退学率でいうと,全体の34.1%が10%超,8.1%が20%超です。

 初年次退学率のほうは,8割の学部が4%未満ですが,20%超,30%超の学部も存在します。1年を待たずして,入学者の2~3割が去る,ということです。

 次に,在学期間中と初年次の退学率の両方が分かる学部に限定して,退学率の全体的な布置構造を描いてみましょう。横軸に4年間,縦軸の初年次の退学率をとった座標上に,双方が分かる1,688学部をプロットしてみました。赤色のドットは,私が勤務する武蔵野大学の6学部です。


 まあ,ほとんどの学部が左下に集中していますが,かっ飛んだ位置にある学部もありますね。受験生のみなさん,あなたが志望している学部はどの辺りに位置しますか。原資料から数値を採取して,上図のマトリクスに置いてみると面白いかも。

 非常勤先の武蔵野大学の**学部だけど,初年次退学率は結構高い部類に属するのだな。知らなかった。

 ところで,上図は国公私立をひっくるめた布置構造ですが,設置主体によって図柄は違うと思います。私は,国公立と私立に分けて,同じ図をつくってみました。下図がそれです。目盛は省いていますが,先ほどの図と同じであることを申し添えます。


 国公立の学部は双方の退学率とも低いゾーンに集積していますが,私立の学部は分布が幅広くなっています。先ほどの全体の図柄は,私立大学の学部の傾向を反映したものであることが知られます。まあ,日本の大学は私立の比重が高いので当然ですが。

 品のないことですが,偏差値のグループごとにわけて同じ布置図を描いたらどうなるかしらん。偏差値が下がるにつれて,集積ゾーンがどんどん右上に動いていったりして・・・。

 読売新聞教育部の『大学の実力2014』は,貴重なデータが満載です。受験生の大学選びの参考に大いに与することでしょう。しかるに,志望学部が全体のどこに位置するかも分かればもっとよし。

 このブログでは,そのような位置づけを知るのに使っていただける,全体構造図を提示していこうと考えております。今回は退学率についてやりましたが,卒業後進路,TP比,入試形態など,他の項目の全体見取り図も随時お見せいたします。

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