2013年8月7日水曜日

ジェネレーション・グラム(青年期まで)

 社会は,育った時代状況を異にする人間群(異世代)の集まりですが,各世代がたどってきた軌跡を時代との関連において俯瞰する図法として,ジェネレーション・グラムというものがあります。私の恩師の松本良夫先生が考案されたものです。

 前回は,年齢軸を広くとった図を紹介しましたが,人間形成の上では,人生の初期,青年期あたりまでの体験が大きなインパクトを持つといえるでしょう。今回は,20代半ばまでの部分を拡大した図をご覧に入れようと思います。

 それぞれの世代は,多感で可塑的な時期を,どういう時代の中で過ごしてきたのか。この点をみていただきたいと存じます。今回の図では,年表を片手に,社会情勢や出来事なども盛り込んでいます。


 図中には,6つの世代の軌跡線が描き込んであります。小学校時代の恩師・橋本美智子先生(1924年生),学問の師・松本良夫先生(35年生),団塊世代(48年生),ど根性ガエルの主人公・ひろし(58年生),私(76年生),この春に大学に現役入学した学生さん(95年生),です。

 細かいコメントは控えようと思いますが,多感なティーン(色つき)の時期に注目したらどうでしょう。一番上の橋本先生は,戦争の時代でした。国民学校での軍事教育や集団疎開なども体験されたことでしょう。教職に就かれたのは戦争が終わってすぐの頃だと思いますが,自分が受けてきた教育と180度異なる教育を施すのには,少なからぬ心的葛藤が伴ったのではないかしらん。

 松本先生の10代は,終戦と同時にスタートです。教科書の黒塗りをさせられ,教えられる内容がガラリと変わったことに,さぞ戸惑われたことと思います。戦後混乱期で,食べ物もロクにない時代。「飢え」というのがどういうものかを肌身で知っている世代です。また,20歳前後の青年期において,自殺者が多く出た世代でもあります。

 次に,量的に多い団塊世代はというと,この世代の10代は,高度経済成長期とぴったり重なっています。心身の成長著しい時期が,社会の成長の時代と見事にクロスしていました。この世代が,自分たちの頃を引き合いに出して「今の若者は・・・」云々を説いてもイマイチ伝わりにくいのには,こういう遠因があるのかも。

 ちなみに,10代の半ば頃は暴力的な非行をしでかし,青年期には学生運動で大暴れした世代でもあります。今年で65歳ですが,最近いわれる「暴走老人」の増加って・・・。

 続いて,私の世代(76年生)の10代を振り返ると,前半はちょうどバブル期であり,後半は平成不況の始まりと一致しています。落差が大きかったのだなあ。20歳前後の青年期が惨々だったのは前回申し上げた通り。大学卒業の22歳の年は98年。わが国の経済状況が一気に悪化し,自殺者数が3万人台にのった年でした。

 最後に,今年の春に大学に入った学生さんの10代をみると,いろいろな教育改革で彩られていますね。ゆとり教育,教育基本法・教育三法改正,全国学力テスト再開,ICT教育・・・。矢継ぎ早になされた,今世紀初頭の教育改革を,彼らはどう受け止めたか。後期は,教職課程の1年生の授業を持つので,そこで聞いてみましょう。

 みなさんも,上図に自分の軌跡線を描き込んでみて,どういう時代状況の中で人間形成をなしてきたのかを振り返ってみられてはいかがでしょう。「そうだったのか」と思われることがあるかもしれません。

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