2013年8月28日水曜日

児童・生徒の国際的視野

 昨日,2013年度の『全国学力・学習状況調査』の結果が公表されました。各紙が,学力テストの平均正答率の県別順位を報道している模様です。
http://www.nier.go.jp/kaihatsu/zenkokugakuryoku.html

 ところで,この調査は教科の学力テストだけではなく,児童・生徒質問紙調査と学校質問紙調査も含んでいます。前者は,対象者の日頃の生活や意識について問うものであり,興味深い設問がたくさん盛られています。私としては,こちらのほうに関心を持ちますね。

 児童・生徒質問紙調査では,今年度から,将来展望や国際的な関心・志向について尋ねられています。ほほうと思い,私なりに結果を整理しみたところ,後者について「おや」という傾向を見つけましたので,ここにてご報告します。

 今年度より,以下のような設問が新たに設けられています。

 ①:英語の学習は好きですか。
 ②:外国の人と友達になったり,外国のことについてもっと知ったりしてみたいと思いますか。
 ③:将来,外国へ留学したり,国際的な仕事に就いたりしてみたいと思いますか。

 グルーバル化が進む現代にあって,未来を担う子どもたちが,これらの問いにどういう回答を寄せているのか。興味が持たれますね。本調査の対象である小学校6年生と中学校3年生の回答分布を図示すると,下図のようになります。

 煩雑さを避けるため,①は英語嗜好,②は外国への関心,③は国際志向,という表記で簡略化しています。


  青と赤の肯定の回答に注目すると,英語嗜好と外国への関心はまあまあですが,国際志向が低くなっています。外国へ留学したいか,国際的な仕事に就きたいか,という問いに対する回答ですが,広義の肯定率は,小6で4割,中3で3割ほどにとどまっています。

 最近,海外留学する若者が減っているといいますが,少し上の世代の「ウチ化」傾向が伝播しているのかしらん。
 
 なお,学年の違いにも注意しなければなりません。どの設問でみても,小6よりも中3で肯定率は低くなっています。英語嗜好は,77%から54%へと20ポイント以上も減です。

 小6の外国語活動は,音声やコミュニケーション重視の親しみやすい内容ですが,中学になると細かい文法とかが出てきて嫌気がさす,ということでしょうか。外国への関心や国際志向が低下するのは,受験で忙しくなったり,現実を思い知らされたりと,いろいろな事情を想起できます。

 このように,子どもの国際関心・志向が学年を上がるにつれて萎んでいく傾向があるのですが,その程度は属性によって異なるでしょう。ちょっと検討してみたところ,学校の設置主体間の差が大きいことを知りました。下図は,先ほどの学年比較を,国公私別に行ったものです。

 この図では,最も強い肯定の回答(そう思う)の比率の変異が図示されています。


 公立よりも国私立校で肯定率が高いこと,小6から中3にかけての減少幅が公立校で大きいことがみてとれると思います。この傾向が顕著に表れているのは,①の英語嗜好です。

 義務教育段階では国私立校はごくわずかですが,結構な差が見受けられます。国際理解教育を行うための条件が違いますので,当然といえばそうかもしれませんが,設置主体間の格差問題としての性格も見落とせないと思います。

 図をよくみると,国立学校では,②と③の項目において小6から中3にかけての減少がほとんどありませんが,これなどは,在籍している児童・生徒の階層構成の違いにもよるでしょう。

 最後にもう一つ。③の国際志向が,地域タイプ(都市-へき地)とリニアな相関関係にあることに気づきましたので,図を掲げておきます。こちらも,「そう思う」の回答比率です(公立校)。


 撹乱一つないきれいな傾向ですが,ネットをはじめとした情報通信機器がこれほどまでに普及した現代にあっても,異国を知る情報量には地域差があるのでしょうか。画面上の2次元情報ではなく,現実の3次元情報です。たとえば,外国人と対面で接する機会など・・・。

 国立教育政策研究所のホームページにて,調査結果の仔細な統計表が公開されていますので,単純集計からは知り得ない情報を,自分なりに引き出すことができます。みなさんも,興味をもった事項について,分析を深めてみてはいかがでしょう。

 私は,今度は,将来展望に関わる設問に注目してみようと思います。将来の夢はあるか,なりたい職業はあるか,といった問いです。近年重視されているキャリア教育の成果は如何。47の小社会(都道府県)の違いも興味深いところです。

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