2013年6月4日火曜日

都道府県別のワープア率・非正規率

 前回の続きです。今回は,有業者のワープア率と非正規率を都道府県別に出してみようと思います。資料は,総務省の『就業構造基本調査』です。本資料から,15歳以上の有業者の年収分布と雇用形態を知ることができます。
http://www.stat.go.jp/data/shugyou/2012/index.htm

 ワープアとは,ワーキングプアの略称です。私は,各県の有業者のうち,年収が200万円に満たない者の比率を明らかにしました。まさに「働く貧困層」です。

 もう一つの非正規率とは,非正規雇用の者が有業者全体に占める比率です。非正規雇用とは,原資料でいうパート,アルバイト,派遣社員,契約社員,および嘱託等の合算です。近年,こうした非正規雇用の比重が高まっていることは前回みた通りですが,その程度は県によって多様でしょう。

 前回と同様,1992年と2007年の比較をします。分析対象は,15歳以上の有業者全体と20代です。後者のデータをみるのは,近年困窮の度合いを殊に強めている若年層の県別数値に関心を持つからです。

 なお,1992年の県別非正規率は,パートとアルバイトの比率であることを申し添えます。派遣,契約,および嘱託等の県別数値は載っていませんでした。当時は,この種の雇用形態がまだ少なく,県別にバラすと数がきわめて少ないからでしょう。ゆえに,前回お見せした全国値と値がやや異なることに留意ください。

 下に一覧表を掲げます。黄色は47都道府県中の最高値,青色は最低値です。上位5位は,数値を赤色にしています。言わずもがな,WPとはワープアの略です。


 資料として出す表ですので細かいコメントはしませんが,黄色のマークのほとんどが南端の沖縄についていますね。2007年の当県の20代でいうと,ワープア率は64.1%,非正規率は45.2%なり。全国値をはるかに凌駕する,すさまじい値です。

 さて,上表のデータを,いくつかの観点から視覚化してみましょう。まずは,20代の非正規率地図の模様が,この15年間でどう変わったかです。私は,両年について,10%区分で塗り分けた統計地図をつくってみました。


 ほう。1992年では薄い色でしたが,2007年になると全体的に怪しい色で染まっています。2007年では,若者の非正規率は全ての県で20%を超え,ほぼ半数の県で30%を超えています。

 2007年の地図をみると,地方の周辺県のみならず,首都圏や近畿圏のような都市部も濃い青色になっています。ワープア率は賃金水準が低い地方で高い傾向が明瞭ですが,非正規率の場合,そういう構造にはなっていないません。

 ちなみに,若者の非正規率の地域差が拡大していることも付記します。標準偏差を出すと,1992年では2.75でしたが,2007年では4.05となっています。近年の若者の非正規化は,地域格差の拡大を伴っていることにも注意しましょう。

 あと一点,ワープア率と非正規率という2指標を使って,各県の若者の状況を性格づけてみようと思います。下図は,横軸に20代のワープア率,縦軸に非正規率をとった座標上に,47都道府県をプロットしたものです(2007年)。点線は,全国値を示唆します。


 図の右上にあるのは,若者のワープア化,非正規化の進行の度合いが相対的に高い県です。沖縄は,暗雲が立ち込める「かっとんだ」位置にあります。ほか,黄色のループで囲った7道府県あたりが要注意県として検出できるでしょうか。

 以上は,ほんの小手先の分析です。上表の基礎データをもっと深く分析することで,また別の側面も明らかになることでしょう。みなさんの参考に与するところがあれば幸いです。

 来月には,2012年の『就業構造基本調査』の結果が公表されます。はて,先ほどの地図の模様はどう変わっているか。また,上のマトリクスにおいて,各県はどう動いているか・・・。

 この5年間,08年のリーマンショックをはじめとして,さまざまなことがありました,と同時に,子ども・若者支援の充実等,政策的なアクションがなされた経緯もあります。その成果如何が教えられることにもなるでしょう。前回と同じ結びになりますが,結果公表を期して待ちたいと思います。

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