2012年5月12日土曜日

学生・生徒の自殺原因構成

前回は教員の自殺原因構成をみましたが,今回は,学生・生徒のそれを観察してみようと思います。3月13日の記事でみたように,学生・生徒の自殺者数は年々増加し,昨年には千人の大台にのりました。

 2011年中の学生・生徒の自殺者は1,029人。その内訳は,小・中学生が84人,高校生が269人,専修学校生等が147人,そして大学生が529人なり(警察庁『平成23年中における自殺の状況』)。若き生命を自ら断つ原因というのは,どういうものなのでしょう。
http://www.npa.go.jp/toukei/index.htm

 警察庁の上記資料(附録)では,職業別の自殺原因が仔細に明らかにされています。遺書などの分析によって検出された自殺原因(延べ数)の集計結果だそうです。私はこれを使って,小・中学生,高校生,専修学校生,および大学生の自殺原因構成を視覚的に俯瞰できる統計図をつくりました。


 太字の原因は,全体でみた場合の構成比が上位5位のものです。1位は学業不振,2位は進路に関する悩みとなっています。学生・生徒さんの特徴が出ていますね。3位はうつ病。発達段階が上がるにつれて,この種の精神の病が多くなります。

 4位は就職失敗。最近,この理由で自殺する大学生の存在が話題になっています。大学生では,この理由が全体の1割弱を占めています。5位は恋愛。こちらも,青年期ならではの自殺因という感じがします。

 上図からは,学校段階による原因構成の違いが看取されます。小・中学生では,親や友人との不和やいじめといった,対人関係の原因のシェアが大きくなっています。自我が未熟な児童・生徒の場合,身近な「他者」との不仲がダメージになるようです。

 学業不振の比重が大きいことにも注目。わが国では,15歳の時点で大きな選抜があります。どのランクの高校に入るかによって,将来の選択可能な進路がある程度決まってしまう面があります。中学生にとって,学業不振が「生」を脅かすまでの脅威になるのは,現代学校のこうした病理的な構造に起因する部分が大きいことでしょう。

 なお,学業不振は大学生の自殺原因でも多くを占めます。日本の大学生は勉強しない,勉強に価値を置かないなどといわれますが,一概にそうはいえないのではないかしらん。4月30日の記事でみたように,大学生のマジメ化が進行してきている向きもあります。

 大学生にとって,進路の悩みや就職失敗が痛手になっていることについては,コメントは要りますまい。よろしければ,3月14日の記事もご参照ください。

 今回明らかにしたことは,まあ巷で繰り返しいわれていることですが,実証データを提示することも,科学の重要な役割であると考えています。

1 件のコメント:

  1. >学業不振は大学生の自殺原因でも多くを占めます。日本の大学生は勉強しない,勉強に価値を置かないなどといわれます

    大学生が最も多く自殺している原因は、その偏見も原因ではないかと思っています。
    実際には大学の勉強は、大学入試よりも大変であり、自殺者も予備校生よりはるかに多いのに、「勉強が楽な大学」と言われたら、大学生は自殺したくなるでしょう。
    ちなみに、平成16年の予備校生はたった19人しか自殺しませんでした。
    それに対して、平成16年の大学生の自殺者数は、370人も自殺しています。
    19×4=76ですから、その学校に所属している年数の問題でないことは明らかです。
    自殺者数から考えると
    小学生<中学生<高校生<大学生
    となり、この順序で大変であり、さらに、大学生の場合は、上のような、マスゴミによって垂れ流された偏見による周囲からの圧力が加わっていると、私は思います。

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