2012年5月1日火曜日

教員の学歴構成(国公私別)

4月10日の記事の記事では,公立学校教員の学歴構成を明らかにしたのですが,この記事を見てくださる方が多いようです。文科省の『学校教員統計調査』をくくればすぐに分かる基本情報ですが,案外知られていないのだなと,少しばかり意外な感じです。

 そういえば,『学校教員統計調査』は,公共図書館には置いてないのだよなあ。私の地元の多摩市立図書館は言わずもがなですが,多摩地域で最大の府中市立中央図書館にもありません。都立中央図書館レベルになって,辛うじて最近のものが所蔵されています。

 このことは,本資料の認知度が相当低いことを示唆しています。学校教員に関する貴重なデータが満載の資料であるだけに,何とも残念です。まあ最近は,官庁統計のほとんどはネット上で閲覧することができます。『学校教員統計調査』の場合,1989年度(平成元年度)版のものまでは,政府統計総合窓口(e-Stat)で見ることが可能です。
http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/NewList.do?tid=000001016172

 潮木守一教授は,インターネット時代の到来のことを,「ポスト・グーテンベルク革命」と形容されています。15世紀の印刷術の発明に次ぐ,大きな情報革命という意味です。今後,ますます多くの文献や資料をネット上で閲覧できるようになるでしょう(無償で)。国立国会図書館では,所蔵資料の電子化が着々と進められています。あと10年もすれば,金がなくても学術研究ができる時代がやってくるのではないでしょうか。ありがたや。

 さて本題です。言うまでもないことですが,学校には公立校のみならず,国立校や私立校もあります。中高の場合,私立校が少なからぬシェアを占めています。今回は,公立学校に加えて,国立学校や私立学校の教員の学歴構成も明らかにしてみようと思います。国私立校の場合,大学院卒の教員が多いのではないかしらん。

 まずは,各学校段階の教員の設置者構成をみてみましょう。2010年の文科省『学校教員統計調査』によると,同年10月1日時点の幼稚園教員は11万人,小学校教員は39万人,中学校教員と高校教員はそれぞれ23万人ほどです。その設置者構成をまとめると,下表のようです。


 小学校では全体の98%までが公立学校の教員ですが,幼稚園では8割が私立校です。中高では公立校がマジョリティですが,国私立の比率は中学が6.9%,高校が26.4%と,段階を上がるにつれて高くなります。

 では,各学校段階について,教員の学歴構成を国公私別にみてみましょう。下図は,結果を帯グラフで表示したものです。


 まず短大をみると,私立と公立では短大卒が大半ですが,国立では教員養成系大学卒が最も多くなっています。まあ,今回のデータでいうと,国立の幼稚園教員は327人しかいません。全体のわずか0.3%です。完全なマイノリティ集団ですが,この部分に注目すると,通説とは違った側面が見えてきます。

 小・中・高校では,大学院卒業者の比率が「国>私>公」という形になっています。とくに高校段階で差が激しく,国立が46.0%,私立が17.5%,公立が12.8%,という具合です。国立の高校教員では,半分近くが大学院修了者なのですね。前掲の表にあるように,この集団は全体の0.2%しか占めない少数派ですが,これは発見でした。

 国立学校の教員って,公立学校の優秀な教員をスカウトするのですよね。言ってみれば,選りすぐりの集団です。このことは,上図のような学歴構成の違いとなって表れているように思います。

 私立学校では,一般大学卒業者の比重が比較的高いようです。同系列の大学の卒業者を優先的に雇い入れる,というようなことがあるのでしょうか。

 一括りに語られがちな教員のすがたも,属性ごとにバラしてみると,一様ではないことが知られます。別に機会に,大学や短大といった高等教育機関の教員の学歴も観察してみることにしましょう。

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