2012年4月29日日曜日

学歴別にみた30代男性の状態

日本は学歴社会であるといわれます。学歴社会とは,地位や富の配分に際して,学歴がモノをいう度合いが高い社会のことです。今回は,私が属する30代男性の生活状態が,学歴によってどう異なるかをみてみようと思います。

 ロスジェネといわれる30代ですが,彼らのおかれた状態は一様ではありますまい。正規就業が何%,派遣・バイトのような不安定就業が何%,ニートが何%・・・といった統計数字は,学歴によってかなり異なるものと思われます。このほど公表された,2010年の『国勢調査』の産業等基本集計のデータを使って,この点を明らかにしてみます。

 まずは,30代男性の学歴構成はどうかという,基本的な情報から確かめてみましょう。2010年の『国勢調査』によると,30代男性は約917万人ですが,学歴別の内訳を整理すると下表のようになります。統計の出所は,下記サイトの表10-2です。
http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/List.do?bid=000001038689&cycode=0


 非学卒者や状態不詳という者が若干いますが,ひとまず,学卒者の部分に注目しましょう。30代の男性の最終学歴で最も多いのは高卒です。全体の35.6%を占めています。次に多いのは大卒で,全体の29.9%に相当します。義務教育を終えて直ちに社会に出た者(中卒)は5.5%しかいません。

 大卒が最も多いだろうと思っていましたが,私の世代ではまだ,高卒がマジョリティーのようです。20代でみたら,大卒が最も多いことでしょう。周知の通り,大学進学率は50%を超えていますし。

 それはさておき,最終学歴が判明している763万人について,調査時点の生活状態を学歴別に明らかにしてみましょう。生活状態をみる観点はいろいろありますが,30代の男性といったらバリバリの働き盛りです。ここでは,就労状態という視点を据えてみることとします。

 下表は,上記サイトの表11と表12のデータをもとに作成したものです。就業者の就業形態の内訳は,表12にて調べました。


 いかがでしょう。まず正規雇用という形で就業している者の比率は,学歴が上がるほど高くなります。大卒以上の30代男性では,82.6%が正規雇用者です。一方,高卒ではこの比率は7割を切り,中卒になると半分もいません。

 その分,低学歴層では,派遣やバイトのような不安定就労者の比重が相対的に高くなっています。派遣+バイトの比率は,中卒が12.9%,高卒が9.0%,短大・高専卒が7.2%,大卒が5.1%,です。若者の非正規雇用化が問題になっていますが,その程度は学歴によって違うようです。女性でみたら,非正規雇用者率はもっと高いことでしょう。中卒や高卒の女性では,派遣・バイト率が半分を超えるのではないかしらん。

 なお,非就業者の比率も学歴によって相当異なっています。非就業者とは,就労意欲はあるが職に就けていない失業者と,就労意欲がない非労働力人口からなります。30代男性の場合,後者のほとんどはニートでしょう。

 両者を合算した失業・ニート率は,大卒では4.8%ですが,高卒では10.2%と1割を超えます。中卒では22.3%です。5人に1人が,失業ないしはニートの状態であることが知られます。

 30代男性の生活状態が,学歴によってかなり異なることを明らかにしました。まあ,言わずとも知られたことですが,実証的な数量データをあまり目にしないので,それを出してみた次第です。機会をみつけて,女性のデータも計算してみようと思います。女性の場合,男性にもまして学歴差が大きいのではないかなあ。