2012年2月19日日曜日

精神疾患による教員の休職率(学校種別,都道府県別)

昨年の5月31日の記事では,精神疾患による教員の休職率を都道府県別に明らかにしました。精神疾患で休職する教員が自県でどれほどいるかは,多くの人の関心事であるらしく,この記事の閲覧頻度は高くなっています。

 しかるに,この記事で提示したのは,公立学校全体のデータです。性質を異にする全学校種を一括りにするのではなく,小学校なら小学校というように,学校種ごとの休職率を県別に出せないかと,前から思っていました。

 文科省のホームページでは,全学校種の県別の休職者数しか公表されていません。しかし,ダメ元で情報公開申請をしたところ,精神疾患で休職した教員の数を,学校種別・県別に集計した資料を入手することができました。当局に提出した申請書と,送られてきた内部資料の写真をお見せします。


 47都道府県・19指定都市分の66枚の集計表が送付されてきました。写真に映っているのは,北海道のものです。かかった費用は,申請料300円+開示手数料360円+資料郵送費390円=1,050円なり。高い買い物というわけではありません。当局の公表資料よりももっと突っ込んだデータが欲しいという場合,情報公開室のような部署に相談してみるとよいと思います。
http://www.mext.go.jp/b_menu/koukai/index.htm

 この資料から,2010年度間に精神疾患で休職した公立学校の教員の数を,学校種別・県別に出すことができます。指定都市の分は,当該都市がある県の分に含めました(たとえば札幌市は,北海道の数に含めています)。この数を,各県の公立学校の本務教員数(2010年5月1日時点)で除して,学校種ごとの休職率を都道府県別に計算しました。分母の本務教員数は,文科省『学校基本調査』から得ています。

 計算の過程についてイメージを持っていただくため,全国と東京のロー・データを見ていただきましょう。休職率の単位は‰としています。分母千人当たりという意味です。


 どの学校の休職率も,東京のほうが全国よりも高くなっています。休職率が最も高い学校は,全国では特別支援学校ですが,東京では中学校のようです。全国と東京の差が最も大きいのは高校の休職率であり,後者(7.8)は前者(4.6)の1.7倍にもなります。

 それでは,47都道府県の学校種ごとの休職率をご覧に入れましょう。下表の左欄は休職率の実値,右欄は順位です。実値の最大値には黄色,最小値には青色のマークを付しています。順位の5位までの数字は赤色にしています。


 小・中学校の休職率が最も高いのは沖縄,最も低いのは山梨です。前回みたように,山梨は,子どもの幸福度指数が最も高い県です。こういうことが,教員のメンタル・ヘルスにも影響しているのでしょうか。高校と特別支援学校は,様相が違っています。

 右欄の順位をみると,東京,広島,そして沖縄は,小・中・高のいずれの休職率も上位5位にランク・インしています。神奈川と大阪は,2種の学校の休職率が赤色です。教員の精神疾患と,都市的な環境の関連が示唆されます。

 間もなく,2010年の文科省『学校教員統計調査』の結果が公表されることと思います。この資料から,教員の年齢構成,学歴構成,担当授業数,給与水準などの県別データを知ることができます。こうした勤務条件指標と休職率の相関関係に興味が持たれます。また,各県の児童・生徒の問題行動統計との関連分析も手掛けてみたい課題です。

 休職率の仔細な要因分析は,これから徐々に手掛けていこうと思います。ひとまず,当局の内部データをもとに作成した,学校種別・県別の精神疾患率を,資料的意味合いを込めて掲載しておきます。参考に供していただければと存じます。

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