2011年12月15日木曜日

子どもの貧困

ここ数年,生活保護受給者の数がうなぎ昇りに増えています。そうである以上,生活保護の対象となっている子どもの数も増加していることと思います。

 生活保護を受けている子どもは,どれほどいるのでしょうか。人口全体の生活保護人員の数は,新聞などでよく目にするのですが,年齢別の人員数は,こうしたメディアでは報じられていないようです。年齢別の数字は当局が公表していないのかと思っていましたが,最近,厚労省の『被保護者全国一斉調査』において,それが明らかにされていることを知りました。
http://www.mhlw.go.jp/toukei/list/74-16.html

 当該資料の2009年版によると,同年7月1日時点における,6~11歳の生活保護人員数は84,139人だそうです。この年齢は小学校の就学年齢ですが,文科省の『学校基本調査』から分かる,同年5月1日時点の小学生数は7,063,606人です。よって,小学生の生活保護受給者率は,11.9‰(≒1.2%)と算出されます。同じ資料から,12~14歳の生活保護受給者数を中学生数で除した比率を出すと,15.4‰となります。生活保護を受けている子どもの比率は,小学生よりも中学生で高いようです。

 この指標の値は,年々上昇してきています。下図は,上記のやり方で計算した,小学生と中学生の生活保護受給率の推移をとったものです。


 小学生,中学生とも,生活保護受給者の比率が右上がりに増えてきています。小学生の場合,この10年間で1.5倍の伸びです(7.9‰→11.9‰)。中学生の伸び率はもっと大きく,1.8倍です(8.7‰→15.4‰)。格差社会化の進行が,子どもの世界に影を落としていることが知られます。

 次に,地域別の値を出してみましょう。上記の厚労省資料には,47都道府県について,年齢別の生活保護人員数が掲載されています。これを,文科省の『学校基本調査』に載っている,県別の小・中学生の数で除せば,各県の子どもの生活保護受給者率を明らかにすることが可能です。

 2009年のデータを使って,小学生と中学生の生活保護受給者率を都道府県別に出してきました。下の表は,その一覧です。最大値には黄色,最小値には青色のマークを付しています。


 生活保護を受けている子どもの比率は,地域によってかなり違います。北海道では,中学生の25人に1人が生活保護受給者ですが,富山では,1,429人に1人です。ものすごい差です。

 これは両端ですが,全体的にみると,都市的な県で率が高い,という印象を受けます。東京と大阪は,小・中学生の率とも,全国値を凌駕しています。しかし,青森や高知のように,地方県で高いケースも見受けられますので,そればかりを強調することもできないようです。

 表の数字の羅列からは傾向をつかみにくいので,都道府県差が大きい中学生の生活保護率を地図化してみました。下図は,5‰ごとの区分で,それぞれの県を塗り分けたものです。


 生活保護率が20‰(2%)を超えるのは,北海道,青森,京都,大阪,兵庫,高知,福岡,そして長崎です。近畿の3府県が黒く染まっています。これと対照的なのが,中部や北陸の諸県です。真っ白です。

 このような差は,何に由来するのでしょう。生活保護の認定基準が地域によって異なるというような,制度的な事情もあるかと思いますが,私は,まぎれもなく社会的な要因の影響を受けていると思います。私は,『47都道府県の青年たち』(武蔵野大学出版会,2010年)において,25~34歳の青年層の失業率を県別に出したことがあるのですが(2005年データ),この指標の地図と上記の地図はかなり似ています。中部・北陸のゾーンが真っ白であるのもそっくりです。

 この失業率は,ここで明らかにした小学生の生活保護率と0.598,中学生の生活保護率と0.631という相関関係にあります。(親世代の)失業率が高い県ほど,子どもの生活保護率が高いという傾向が明瞭です。

 子どもの状況は,社会の状況をストレートに反映するのだな,と思います。次なる関心は,こうした社会的要因の所産である生活保護率の高低によって,子どもの育ちの様相がどう変異するか,ということです。次回は,生活保護率と学力指標の相関分析をしてみようと存じます。

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