2011年11月18日金曜日

いじめの摘発度(学年別)

11月9日の記事にて,いじめの摘発度を県別に明らかにしました。その結果,熊本県の数字がダントツで高いことを知りました。

 当県では,毎年,公立学校の全児童・生徒に対し,いじめの被害経験の有無を尋ねるアンケート調査を行っているそうです。2009年度調査の結果を引くと,「今の学年になっていじめられたことがある」と答えた児童・生徒の比率は8.8%と報告されています(調査実施時期は11~1月)。およそ11人に1人。学年別の比率をグラフ化すると,下図のようになります。
http://kyouiku.higo.ed.jp/page2007/page3168/


 最も高いのは,小1で19.4%です。おおよそ,低年齢の児童ほど被害経験率が高い,右下がりの型になっています。文科省の統計にて,いじめの認知件数を学年別にみると,中1をピークとした山型になるのですが,上図の型状は,明らかにそれとは違っています。

 低学年では,被害を受けている児童が多いにもかかわらず,当局がそれを把握しきれていない可能性が示唆されます。熊本県の被害率を使って,全国の被害者数を学年別に推し量り,各学年の認知件数の統計と照らし合わせてみましょう。

 文科省の『学校基本調査』(2009年度版)に記載されている,全国の公立の小1児童数は1,121,965人です。この数字に,熊本の小1のいじめ被害率(19.4%)を乗じて,いじめ被害経験者の実数を推計します。その数,217,661人なり。

 2009年度の文科省『児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査』によると,当該年度間に,全国の公立学校で認知された小1のいじめ件数は3,810件です。この数は,先ほど推し量った,当該学年のいじめ被害経験者数(217,661人)の1.8%に相当します。当局の統計が,推定されるいじめ被害者数のどれほどを掬っているのかを表す尺度として使えます。

 この尺度(いじめの摘発度)を,他の学年についても算出してみましょう。下の表をご覧ください。


 表の右欄によると,いじめの摘発度は中2で最も高くなっています。20.0%です。当局の統計は,推定されるいじめ被害者数の2割を拾っていることになります。

 学年別の摘発度は,中2をピークとした,きれいな山型になっています。中学校段階でいじめが起きやすいと巷でいわれるので,いじめの摘発活動も,中学校で本腰が入れられる,ということでしょうか。

 ですが,ここでの推計結果によると,低学年の児童ほどいじめ被害者が多くなっています。実際に起きているいじめの数についても,同じようなことがいえるでしょう。にもかかわらず,当局の統計は,そのうちのごくわずかしか把握し得ていないようです。

 言語能力に乏しい低学年の児童の場合,いじめに遭ったことを,保護者や教師にうまく訴えることが叶わないのかもしれません。それだけに,小学校の低学年にあっては,いじめの摘発活動がもっと活発化されて然るべきではないか,と思います。

 2月25日の記事では,最近10年間における暴力的行為の増加率が最も大きいのは,小1の児童であることを明らかにしました。教師の言うことを聞かない,授業中立ち歩くといった,「小1プロブレム」の問題もよく知られています。

 夫婦の共働きや,養育の「施設化」の進行により,幼児期の社会化(Socialization)が十分でないまま,小学校に上がってくる子どももいることでしょう。今日,「難しいお年頃」は,低学年の児童にシフトしているといえるかもしれません。

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