2011年5月27日金曜日

小学校の教採競争率の推移

 文科省の統計によると,2010年度の公立小学校教員採用試験の受験者は54,418人(述べ数),うち採用者は12,284人だそうです。よって,競争率は4.4倍となります。

 この競争率は,時系列的にみて,どのように推移してきたのでしょうか。文科省のホームページからは,最近10年くらいのデータしか得られません。教員採用試験の実施状況の統計は,文部科学省が第一法規より出している,『教育委員会月報』という雑誌の秋ごろの号に載っています。私は,この雑誌のバックナンバーをさかのぼり,小学校教員採用試験の競争率を,1975年度試験のものから明らかにしました。

 競争率とは,受験者数と採用者数の2つの要素から決まりますので,率の推移と併せて,これらの要素も観察することが望ましいと思われます。下図は,1975年度から2010年度試験までの,実施状況の統計を図示したものです。


 受験者数や採用者数は,現在よりも,1970年代から80年代のほうが多かったようです。80年代から受験者数が採用者数を上回るペースで減少し,結果,競争率も低下します。1991年には2.8倍と,3倍を割ります。バブル期にあった当時,民間が非常に好景気だったためでしょうか。

 しかし,バブルが崩壊し,平成不況に入るや,受験者数は増加に転じます。一方で,少子化により,採用者数は減っていったので,競争率が加速度的に高まってきます。90年代を経て,2000年には12.5倍にもなります。ちょうど,私が大学を出た頃です。当時の試験の厳しさは,私も肌身で知っています。まさかあの人が…というような人が,試験にガンガン落ちていました。

 その後,受験者は相変わらず増えますが,団塊世代教員の退職者の増加により,採用者数も増えたので,競争率は下降し,2010年の4倍強という水準になっているわけです。

 以上は,全国的な動向ですが,競争率の変化は,地域によって違っています。ここでは,大都市の東京と,2010年度試験で競争率が最高であった青森を比べてみましょう。5月5日の記事でみたように,2010年度試験の小学校教員採用試験の競争率は,東京が3.5倍,青森が25.2倍と,大きく違っています。この差は,どういう経緯を経て形成されてきたのでしょう。


 地域別の競争率は,1980年度試験のものから得ることができました。上図にて,競争率をみると,東京は,全国の曲線と似ています。青森と東京を比べると,前者が後者を追い抜くのは1998年です。東京は,今世紀以降,競争率が下がっているのに,青森のほうは,ぐんぐん伸びています。5月5日の記事で紹介した,両都県の教員の年齢構成からうかがえるように,東京では退職教員が多く,青森ではそれが少ないからです。青森では,最近,受験者数も減っていますが,採用者数のほうはそれを凌駕するペースで減っています。その結果,今日の競争率が大変高くなっている,という具合です。

 いったい,青森の25倍という競争率を勝ち抜いて採用に至った人というのは,どういう人なのかしらん。当県に関する統計はありませんが,全国については,採用者がどういう属性の人かを教えてくれる統計があります。分析してみようと思っています。

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