2011年4月13日水曜日

非行の悪質性①

 今の少年は,昔に比べて悪くなったのでしょうか。非行少年が出る確率という点からすると,答えは否です。10代少年の非行者出現率を長期的にたどると,ピークは1981年(昭和56年)の14.0‰です。この年では,10代少年千人につき,14人の非行者が出ました。ですが,2009年の数字は8.9‰です。率が減少していることが知られます。

 とはいえ,非行といっても,いろいろな罪種があります。万引きのような軽微なものもあれば,殺人のようなシリアスなものもあります。現在では,非行少年の数は少ないものの,殺人や強盗のような悪質度の高い罪種のウェイトが高まっているのではないか,と問われたらどうでしょう。

 非行の量的な変化については『犯罪白書』などで容易に知ることができますが,非行の質的な変化については,必ずしも明らかにされてはいないようです。私は,後者の側面を明らかにしたいと思い,非行の悪質性の時代変化を調べました。

 松本良夫先生の『図説・非行問題の社会学』光生館(1984年)の82頁には,それぞれの罪種の悪質得点が掲載されています。これは,一般住民の評定をもとにしたものだそうです。たとえば,最もシリアスな殺人は88点,強盗は13点,万引きのような非侵入盗は3点とされています。これらをもとに,各年の非行の悪質平均点なるものを出してみようと思います。


 上表の左端には,2009年中に検挙・補導された10代少年の数が罪種別に示されています(警察庁『平成21年の犯罪』による)。万引きのような非侵入盗が63,165人,自転車盗のような横領が21,283人と多くなっています。殺人はわずか52人です。この表から,悪質点の総点を出すと,次のようになります。
  (88点×52人)+(13点×713人)+…(2点×429人)+(1点×103人)=330,708点

 この総点を,検挙・補導人員の総数(98,418人)で除して,1人あたりの悪質平均点は3.36点と算出されます。非侵入盗の3点に近い値です。これは2009年の数字ですが,他の年ではどうなのでしょう。私は,1979年から現在までの約30年間について,この悪質平均点の推移を明らかにしました。下図をご覧ください。


 これによると,2009年の値(3.36点)は,過去の推移の中で高い位置にあるのではなさそうです。平均点が3.8点を超えるのは,1979~1986年と2000年です。悪質性という点からみると,この時期に少年が比較的ヤバかったのですね。2000年から2004年にかけての急落は目を引きますが,最近になって再び上昇の傾向にあるのが少し気にはなります。

 次回は,この悪質平均点が年齢別にみてどう異なるかを明らかにしようと思います。

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