2011年2月25日金曜日

キレる子ども

 学校で荒れ狂う子どもの存在は,教員の頭痛の種です。全国的に校内暴力の嵐が吹き荒れたのは,1980年代前半の頃だといわれています。当時に比べると,生徒の暴力行為の発生頻度はかなり少なくなっているといわれますが,実情はどうなのでしょう。生徒の暴力行為については,比較に堪え得る長期的な統計がないので,最近の10年間の推移をみてみようと思います。

 文科省の『児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査』から,公立の小・中・高等学校で暴力行為を起こした児童・生徒の数を知ることができます。2009年度の加害児童生徒数は58,994人ですが,その大半は,学校内での生徒間暴力(ケンカ)によるものです。対教師暴力は,ごくわずかしかいません。

 同年の公立小・中・高校生は12,570,826人ですから,加害児童生徒の出現率は,千人あたり4.7人となります。10年前の1999年では3.1‰でした。暴力行為をしでかす子どもの率がやや高まっていることが知られます。では,学年別に出現率を細かく出し,例の社会地図で表現してみましょう。


 どの年でも,中学校段階で出現率が高くなっています。高率ゾーンが川のように横切っています。変な表現ですが,中学生の時期は,暴力の季節です。2005年以降,オレンジ色のゾーンが広がり,2007年以降の中2と中3の部分は,12‰を超える黒色に染まっています。最近の中学生の状況が懸念されます。

 では,出現率の上では安全色(青色)に染まっている低年齢の児童は問題ないかといえば,そうでもないようです。この10年間における加害者数の増加率という点でみると,違った側面がみえてきます。


 上記の表によると,加害者数の増加倍率は,低年齢の児童ほど高くなっています。小学校1年生では,43人から299人と,7倍にもなっています。最近よく聞くようになった,暴力の「低年齢化」とは,こうした事態をさすものといってよいでしょう。

 「小1プロブレム」という言葉がありますが,小学校に上がってきた児童が,席につかない,授業をきちんと聞かないなど,集団生活に適応できない現象が問題になっています。この点については,幼児期の社会化不全など,いろいろな原因を推測することができましょう。実証研究の積み重ねが待たれるところです。

 今後,青少年問題研究の対象として,こうした低年齢の児童にも関心が向けられる必要があるものと思います。

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