2011年2月23日水曜日

大学教育の条件整備

 私は,非常勤先の武蔵野大学にて,2009年度と2010年度,4年生の卒業論文ゼミを持たせていただきました。ゼミ生の数は09年度が18人,10年度が17人でした。学科全体のゼミの中では多いほうだと聞いていますが,1人でこれだけの人数を相手するのは,いささかしんどい,という感想を持ちました。

 大学教育の質を測る指標の一つに,教員一人あたりの学生数というものがあります。TP比といわれるものです。2010年の武蔵野大学の場合,学生数が5,542人,専任教員数が176人です(読売新聞教育取材班『大学の実力2011』中央公論新社,2010年)。TP比は,前者を後者で除して31.5人となります。同じ資料から,全国568大学のTP比を出し,その平均値をとると20.6人です。武蔵野大学の値は,全国平均をかなり上回っています。

 TP比が高いことは,マスプロ教育など,教育条件が悪いことを意味しますが,逆の見方もあります。あまりに低いと,もう少し教員を減らして,コストを削減する余地はあるだろう,という意見も出てきます。TP比の適量がどれほどかについては,合意はありません。ただ,全大学のTP比の分布を押さえることは,各大学が自前の健康診断を行う上で,参考になると思います。

 私は,上記の資料から,2010年の全国568大学のTP比を出しました。文科省の統計に記載されている,この年の大学数は778校ですので,母集団の73.0%がカバーされていることになります。568大学中の最大値は51.0人でした。大阪の伝統ある私立大学です。最小値は0.7人でした。東京の医科系の私立大学です。学生よりも教員の数が多いことになります。


 では,5人刻みの度数分布をみてみましょう。図をみると,10~15人の階級が最も多く,全体の18.5%(105校)がここに位置します。30人を超える大学は全体の22.5%,40人以上は6.2%に相当します。国公立大学のTP比は私立大学に比して低いようです。

 先にもいいましたが,TP比の適量については合意はありません。しかし,一般には,この値が高いほど教育条件が悪いと考えられているようです。この見解がどれほど妥当性を持つかを検討するため,回を改めて,各大学のTP比と退学率の相関分析をしようと思います。

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