2011年1月19日水曜日

大学の定員割れ

 最近,定員割れに悩む大学が多くなっているといわれます。18歳人口が減少する中,大学の数は増えているのですから,学生獲得競争が熾烈化している側面は明らかです。18歳人口(需要量)は,ピーク時の205万人から,2010年では121万人にまで減っています。一方で,大学の数(供給量)は,同じ期間中,523校から773校と,1.4倍も増えているのです。

 実際,定められた定員を満たすことができない大学は,どれほど存在するのでしょうか。この点については,よく新聞などで,全体の4割だとか,半数だとかいわれますけれども,自分の手で明らかにしてみたいと思いました。

 読売新聞教育取材班『大学の実力2011』中央公論社(2010年)から,2010年における,全国589大学の学生数と定員数を知ることができます。後者は,「大学設置・学校法人審議会で認められた学部・学科の定員数」とされています。設置されて4年経っていない大学は,努力云々と関係なく,定員を満たすことはできませんので,2006年以降に設置された大学(20校)は分析対象から除くこととします。

 私は,残りの569大学について,学生数を定員数で除した,定員充足率を計算しました。私が非常勤講師として勤務する武蔵野大学の場合,学生数は5,542人,定員数は4,835人ですから,定員充足率は114.6%となります。569大学の平均値(103.4%)をかなり上回っています。最も高い大学は168.2%でした。反対に,最も低い大学はわずか24.2%です。定員の4分の1しか学生がいないことになります。


 569大学の定員充足率の度数分布をとると,上図のようになります。定員割れのラインを示していますが,このラインを下回る,つまり充足率が100%未満の大学は186校で,全体の32.7%に相当します。新聞報道などの数字よりも低めですが,読売新聞調査に回答しなかった大学には,定員割れの実態を公にしたくないという大学が多いでしょうから,全大学でみれば,値はもう少し高くなると思われます。

 569大学のうち,私立大学425校だけに限定すると,定員割れ大学の比率は41.6%となります。充足率が80%に満たない大学は73校(12.8%)ですが,これらは全て私立大学です。

 今後,大学は間違いなく,冬の時代,淘汰の時代を迎えることとなります。顧客を18歳人口だけに頼れる時代は終わりました。無理にそういうことをすると,進学を希望しない者までをも引き込み,彼らの人生を狂わせることにもなりかねません。社会正義の観点からもよろしくないでしょう。

 現在,生涯学習社会といわれる時代です。成人した社会人にも,大学教育を欲している層はいます。また,退職した高齢者なども,新たな需要層と想定できるでしょう。こうした,「非伝統的」なニーズを開拓していくことが重要ではないかと思います。大学教育を受けている社会人学生がどれほどいるかなど,成人の学びに関する統計は,おいおい提示したいと存じます。

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